【職場にいるサイコパス】ハラスメントと対処法

職場にいるサイコパス。

反社会性パーソナリティー障害、あるいはそれに近いパーソナリティー。

彼らはパワハラなどのハラスメントに至る率も高い。

被害に遭わないために、またその対処法について心理カウンセラーが解説します。


【筆者プロフィール】
心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。コーチとしても様々な目標達成に携わる。
著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」は台湾でも出版された。
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職場にいる意地悪な人、サイコパス?

職場にもいる「意地悪、攻撃的な人間」へどう対処するか。

中には「サイコパスなのでは?」と思える事例も。

こういうご相談も絶えることがありません。

世の中には一定数、こういう人がいます。

あなたの職場にもいませんか?

こういう人が職場に一人でもいると、その職場は最悪の場所になります。

その人一人が場を独占し、全てを自分の思い通りにしようとします。

そのためには手段を選びません。

周りを巻き込み、自分の一派を作る人もいます。

上司、同僚、部下を自分の手足のように使おうとします。

多くの人がターゲットになりたくないので、半ば手足のように動き始めます。

そんな卑怯で理不尽なことが大嫌いなあなたはそんな一派の軍門に下ることを拒みます。

その結果、その一派から嫌がらせや誹謗中傷を受ける場合もあります。

カウンセリングやコーチングでは、そういう体験談を数多く聞いてきました。

善良な人間が、攻撃を受ける。

私が一番嫌いで許せない状況です。

何も悪いことをしていない善良な人間が、悪いことをする人間に攻撃される。

世の中にこんな理不尽なことがあるでしょうか。

そもそも、そういう人はなぜそこまで意地悪な人間なのでしょうか。

どうして執拗に人を攻撃し支配しようとするのでしょうか。

実は、そういう行動にも理由があります。

サイコパス(反社会性パーソナリティー障害)の場合

彼らは先天的にそのような人格であるといわれています。

生まれつき脳の形が少し違う。

愛情や温かみを感じる部分が小さく、人間味が極点に低い。

人の気持ちに共感できない。

しかし自分の損得勘定によるコミュニケーション能力は高い。

仕事も出来る人が多いので、比較的社会の地位の高い仕事に就いていたり、出世することが多い。

驚くほど共感能力が低いが、自分の利のためには共感できているかのような振る舞いができます。

サイコパスは競争に勝つこと、周囲を支配し、全権を掌握することに執念を燃やします。

逆に人との絆、思いやり、愛といったヒューマンな要素にはほぼ、反応しません。

脳の構造がそう出来ているというのが、一番わかりやすい説明になろうかと思います。

人口の1%はいるといわれており、精神医学では「人格障害」というカテゴリーに分類されます。

欧米を中心に近年では様々な治療法が開発され、研究も続けられています。

こうした人たちは1対1のカウンセリングというより、同じ反社会性パーソナリティー障害の人たちとのグループセラピーや
学習を中心とした教育などによる成果が見られるといわれています。

そして、サイコパスのように先天的な、極端な傾向はないが、やはり人格的に偏った意地悪で攻撃的な人もいます。

意地悪で攻撃的、支配的な人

意地悪な人、攻撃的な人、支配的な人というのは、自分の心の問題によって、そういうことをします。

自分の心が荒んでいるので、言動も荒んでいます。

心に何らかの欠乏感や怒りがずっとあるので、それを埋めようという本能が働きます。

心の穴、これを埋めようとすること自体、間違ってはいません。

間違っているのは、その手段です。

意地悪な人は劣等感も強いので、人の上に立ちたがるんです。

もちろん、劣等感のある人全てが人を支配したがるわけではありません。

傷ついたことに強い怒り、憤りがあり、それが人への憎しみに変わった場合です。

その場合、人への攻撃、支配によって自分の中で溜飲を下げようとします。

ですが、何度もいいますが、目的も手段も間違っています。

攻撃や支配によって、その心の欠乏感やその憎しみが満たされたり癒されることはないからです。

つまり、意地悪は何も解決しないのです。

ですが、意地悪な人はそんな合理的な考え方ができない。

自分の怒りの衝動に常に突き動かされ、いじめや意地悪、ハラスメント行為を続けます。

なので、話し合いなど全く通用しないのです。

企業側からの研修、通達、罰則が奏功しない

別な言い方をすると、教育ができないといえます。

だから、会社の研修、通達、罰則などを施しても、当人の問題行動が止まない確率が高いのです。

企業のハラスメント問題への対応でなかなか成果が出ない所以です。

では、当人の心の問題、つまり劣等感や怒りを癒してあげれば解決するのか。

確かに劣等感や心の傷、トラウマなどが癒え、心の問題が解消されれば、維持あるやハラスメントなどの行動は止むでしょう。

心のそうした問題が解決すれば、彼らにしてみれば問題行動を起こす理由(動機)がなくなるからです。

理屈ではそうなのですが、実際問題難しいでしょう。

なぜなら、そういう人ほど、自分に問題があるとは天地がひっくり返っても思わないため、セラピーや教育を受け容れない。

形だけ受け容れたようにする人もいますが、その場合も効果はない。

こういう人を変えるというのは、限りなく困難です。

では、職場にこういう人がいて、
被害を受けている場合、どうすれば良いのか。

パワハラなど、ハラスメントが起きたら

最近、企業研修において「パワハラ」をテーマに登壇することが増えています。

2022年からは中小企業においてもその対応が義務化されました。

しかし、実態は非常に厳しいもので、対応は全く追いついていないといえるでしょう。

対応が追いついていない原因はいくつかあります。

資金面、時間的な面、人員的な面や業績悪化で余裕がない、そもそも経営陣にその意識がない等・・・

他にもいろいろありますが、根本的な問題として根絶が難しい心理的問題もあります。

これは企業研修でもお話するのですが、パワハラなどのハラスメントは、その行為者の問題が大きい。

企業側の理不尽なノルマ等の圧力もありますが、パワハラ行為者の心理的問題が大きいんですね。

つまり、ハラスメント行為者のパーソナリティー(の歪み)の問題が原因なんです。

このパーソナリティーの問題は、長年いろいろ積み重なって生じた問題です。

そのため、厚労省が音頭を取って企業が防止・解決に努めたとしてもそうそう十分な解消には至らないことが多い。

心理的問題が絡んだ、非常に根の深い問題だといえますね。

つまりそうしたパーソナリティーの歪みによるハラスメント行為は企業側の対処に限界があります。

ですので、状況が変わらないのであれば、被害を受けている側をハラスメント行為者から話す。

被害者側も異動願い・転職といった選択肢も要検討となります。

状況や対象者へ改善を働きかけても奏功しない場合、「そこ(その人間)」からこちらが離れるわけです。

学校のいじめも対処は同じ

これは学校のいじめの問題でも同様です。

起きているいじめに対して、学校側が満足に対処しない、もしくは対処しても解決しない場合。

その場合はこちらが離れる「転校」という手段が結局は有効という事例は多いのです。

問題から離れる決断は、かなり勇気が要ります。

自分は悪くない、むしろ被害者なのに、その自分がなぜそこを離れなければならないのか。

あるいは転職先、転校先で安全が保証されるかどうかは行ってみないとわからない部分も、どうしてもある。

こうしたことから、転職や転校への「迷い」「ためらい」が生じます。

しかし、だからといって「ここ」にいても、埒が明かない。

ここに居ることに「未来」はない。

それどころか自分の精神が削られ、病み、取り返しのつかない状態に追い込まれる。

そういうギリギリの判断から、やはり離れる決断に至ります。

職場でハラスメントが起こると、人間の醜い部分をこれでもかと見せつけられる場合もあります。

見て見ぬふりをする人たちや、ハラスメントに加担する人達もいます。

動いてくれない上司、守ってくれない会社、そういう現実を突きつけられることもあります。

でも、そういう環境下にいることで、自分の未来の扉を閉ざすのはあまりにも悲しいこと。

だから発想や視点を思い切って転換して、新たな選択を探ることが大切です。

サイコパス、ハラスメント、対処は一択

結論からいうと「離れる」のが一番。

異動、転職によって、二度と会うことのないそういう環境に移るのが最も賢明な対処法です。

現代のいじめ、ハラスメントは、闘うとかスルーするというのが通用しなくなってきている。

つまり、その場(同じ職場)での対処が無効化されてきている。

また、先ほども説明したように、企業側も対処に苦慮しています。

いろいろ施策を施しても、根本解決には至らない。

中にはまったく対処してくれない組織も多い。

それは大企業より中・小企業。

民間企業よりも公的機関の方が対処が出来ていないケースが多いです。

そんな場所(職場)にいても、私たちに未来はない。

そのままそんな職場で耐えていくのは、お金と引き換えに、自分の健康と魂を犠牲にするようなものです。

異動願いも受け容れてもらえないなら、転職も視野に入れる方がよいでしょう。

転職するなら、様々な外部機関、自分のツテなどに協力してもらうのが良いです。

一人で抱え込んで潰れてしまうことだけは、何としても避けてください。

被害をうけたトラウマをケアする

トラウマ卒業のカギは「道理」という視点です。

トラウマから卒業できるかどうかはその経験をどう捉えなおせるかにかかっています。

過去に傷ついた経験。

その経験を今、改めて捉えなおせるかなんですね。

過去の経験がトラウマになってしまうのはなぜか。

それは、傷ついたことで、強烈な防衛反応が起きるからです。

その防衛反応とは「もう二度とあんな目に遭いたくない」というもの。

あんな辛い目に、あんな嫌な思いに、あんな屈辱的なことにもう二度と逢いたくない。

あんな経験は恐怖でしかない。

だから忘れよう、なかった事にしよう、絶対避けよう。

こうした防衛反応が強く働きます。

解離が起きたり、パニックが起きたりするのはある意味、防衛反応ともいえます。

なぜそんな防衛反応が起きるのかというと、過去のその経験をただただ嫌悪、恐怖するからです。

ということは、過去のその経験を嫌悪・恐怖以外の対象にすればいい。

つまり「冷静な分析」ができるかなんですね。

ただ、気をつけてほしいことがあります。

無理にこの分析をしようとすると、さらに強烈な防衛反応が起きます。

その防衛反応によって心身のバランスが崩れたり、より辛いフラッシュバックや乖離が起きます。

正直、これは実績ある専門家と一緒にやることをお勧めします。

ですが、折角なので分析のプロセスだけわかりやすく短く説明します。

トラウマ克服のカギは「道理」に沿って捉えなおすこと

分析をしっかり進めるには、ある「視点」が重要です。

その視点とは「道理」です。

そう「道理に適っているか」の道理ですね。

ちなみに「道理」の意味を辞書で引いてみると、こうです。

1 物事の正しいすじみち。また、人として行うべき正しい道。ことわり。

2 すじが通っていること。正論であること。また、そのさま。

つまり、あなたが経験した出来事、その成り行き、背景などをこの視点で捉えなおすのです。

自分がされたこと、相手から言われたことは人としてどうか、筋が通っているか。

つまり「道理に適っているか」という風に・・・・

カウンセリングではこうしたことを丁寧に、そして一緒にやっていきます。

そうすると「自分は悪くなかったんだ」「相手の問題だったんだ」とか「自分ももっとこうすれば(こう捉えれば)良かったんだ」とか・・

そんな風に落ち着いて理性的に捉えなおせるようになります。

このプロセスは「丁寧に」「一緒に」と書きましたが、クライエントの心がちゃんと落ち着いてできる状態で行います。

決して無理をしない、正直に、納得いくように、つまりここも「道理に適った」形で進めていきます。

一つ、言い忘れました。

この作業、決してカウンセラー(私)から推し進めることはしません。

あくまでもクライエントがご自分の意志で、希望したときに、一つ一つ納得しながら(腑に落ちながら)ご自分のペースで進めるものです。

そうでなければ、分析がちゃんとできないし、立ち直りにつなげることもできないからです。

その結果、トラウマからちゃんと卒業していきます。

その卒業に、誰よりもクライエント自身が納得します。

理不尽な仕打ちに対してこそ、道理をもって捉える。

感情的にしかなれない出来事こそ、理性的に捉えなおす。

大げさではなく、私たち人間のもっている「叡智」を活かし、人として幸せな人生を生きる権利を取り戻すわけです。

心ある人たち、心無い人たち

社会全体で言うと、心ある人と心無い人の割合はどの位だと思いますか。

実は、心ある人というのは社会全体で言っても 20%いるかいないかと言えます。

ということは、残りの80%は、程度の差こそあれ、 心無い人間だということになります。

残念ながらこの社会は心無い人間がその80%を構成しています。

結論から言うと、幸せに生きて行くためには残りの20%の人、すなわち心ある人たちとつながるようにする。

これが幸せになる一番の近道になります。

「そんな、人を選ぶ生き方は嫌だ」

もしかしたらそう思うかもしれません。

しかし、現実問題として心ない人間が80%を占めるこの社会で生きて行くにはある意味「人を選ぶ」 ということは大切になってきます。

あなたを平気で傷つけたり、支配したり、利用したりする。

そんな人となぜつながる必要があるのでしょうか?

そんな人たちとばかりつながって 果たして幸せに生きていくことができるでしょうか。

心ない人たちとばかりつながっていれば、それこそいじめ、ハラスメントなどの被害も受けやすくなります。

あなたの心を平気で深く傷つけるような人たち。

そんな人たちと繋がるメリットなど1ミリもありません。

ぜひ、心ある人たちとつながるように生きて行きましょう。

そのためには「どういう人が心ある人間なのか」ということを見極められる「眼」を持つことです。

心ある人間がどういう人間なのかをしっかりと理解することが必要です。

心無い人間に負けない賢い方法とは

ですからぜひ、心ある人間の研究をしてください。

どんな人が心ある人間と言えるのか。

心ある人間はどんな言動、態度、判断、選択をするのか。

どんな風に人と接しているのか。

どんなふうに働き、どんな風に生きているのか。

何を大切にし、何を喜びとしているのか。

そういうことをぜひ真剣に観察したり調べたりしてください。

自分の中で「心ある人間の基準」というものを持ってください。

そうすれば、あなたの周りに居る誰が心ある人間なのかが見えてきます。

心ある人間は、こんな時こんな言動を絶対にとらない。

例えばそういうことも分かってくるはずです。

「心ある人間とは」 という自分なりの基準を是非持ってください。

そして最後に一番大事なことをお伝えします。

ぜひ、あなた自身も「心ある人間」になってみてください。

自分自身が心ある人間を目指し、そのように人と接し、そのように生きて行く。

こういう生き方があなたのところに「心ある人間」を連れてきてくれます。

社会全体で言えば、心ある人間は20%です。

でも、捉え方によっては「20%もいる」と言えます。

日本の人口がざっくり1億人だとして、その20%は2000万人になります。

単純計算の話ではありますが、あなたは 2000万人の心ある人との出会いを意識すればいいわけです。

見極めができるようになれば見えてきますよ。

心ある人があなたの周囲にもいるということが。

もし周囲に心ある人が一人もいないとしたら・・・

付き合う相手を思い切って変えましょう。

心ある人間とのつながりを増やして行きましょう。

心ある人間と付き合うようにする。

そのことで心ある人間から学ぶことも多いでしょう。

だから心ある人間の研究をオススメしています。

同時に自分自身が心ある人間に少しでも近づこうとする。

そういう生き方こそ、幸せな生き方なんですね。

だから最後に一言。

「心無い人間に負けるな!」

今から目を開き、一歩一歩で良いので、歩いてきませんか?

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心理カウンセラー鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

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