人間関係って選べるの?

人間関係が選べないところで悩み、ストレスを経験している人がとても多くいます。

特に日本では学校生活がその最たるもので、同じ年齢で同じ地域に住んでいるというだけで同じ教室で一緒になる。

たまたま気の合う子がいればいいですが、いなかったからといって「クラスになじめない」「友達ができない」と親が悩みだす。

子どもにしてみればたまったものではないのですが、子どもは律儀ですので「自分がダメなんだ」と悩みだします。

会社でも人間関係は固定化されているので、そこでなじめない、合わないということもあるのですが、日本人は「自分が適応できないのが問題」と決めつけて悩んでしまいます。

そうした事例がカウンセリングでもたくさんあるので、今回はちょっと違った視点から考察していきます。


【筆者プロフィール】
心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。コーチとしても様々な目標達成に携わる。
著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」は台湾でも出版された。
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職場の人間関係に縛られた生活になってませんか?

カウンセリングのご相談の中で特に多い相談内容の1つは、やはり「職場の人間関係」です。

職場(上司・部下・同僚、顧客など)ですから、もちろん相手の好き嫌いは選べません。

合うとか合わないとか言っていられないところもあるでしょう。

しかし、ご相談の内容を聞いていると、傾向として「固定化された人間関係」に縛られているなと感じることが多くあります。

「固定化された人間関係」とは、自分では選ぶことのできない人間関係です。

この場合だと仕事上の人間関係になります。

つまり、会社から与えられた仕事上の人間関係に人生を大きく左右され、それ以外の人間関係を拡げようという余裕がないわけです。

海外の柔軟性のある人間関係に学ぶ

海外などでは、この辺が非常に柔軟であったり、行動的であったりします。

会いたい人、付き合っていきたい人というのを大事にし、仕事以外でも自分たちの人間関係を自ら選択していく傾向が強いと思います。

わかりやすくいうと、公私ともに人付き合いに積極的ですね。

与えられた人間関係以外に、自分から「合いたい人」「好きな人」との関係を育てています。

そして海外では最近、ビジネスにおいても仕事単位でこの人と組もうとか、プロジェクト単位でこの人たちと一緒にやっていこうとか。

個人起業家だけでなく、企業でもそのような選択が増えてきたようです。

また、海外は副業が積極的に推進されているので、フォードの社員がGM(ゼネラルモーターズ)で副業していたりします。

日本ではまだまだ考えられないかもしれません。

日本では雇用の流動化という解決策がなかなか浸透しないようです。

雇用の流動化が起きにくいのも一因

日本においては、こうした仕事単位もプロジェクト単位も、会社主導で決められていることがほとんどです。

つまり、会社の仕事、会社のプロジェクトに携わる。

だから、自分で選んだ人間関係ではなく、ここでも「用意された人間関係」となります。

日本の会社、日本の社会は、こうした会社組織と言う固定化された人間関係の中で過ごす時間がとても多いし、精神的にも大部分を占めています。

そしてたどってみると、それは学校生活にも言えるのです。

固定化された人間関係の代表が日本の学校

幼・少・中学校と基本的には「地域の子供たち」と共に学校生活を送ります。

これは言い方を変えると、ただ地域が一緒だからというだけのくくりで、長い年月その中の人間関係で過ごさなければならないということです。

もし「この地域性や人間関係と自分は合わない」となった時、大げさな話でなく、自分の居場所がなくなる位の大問題になってしまいます。

なぜなら、それ以外の人間関係が無いケースがほとんどだからです。

日本の子供たちはこうした固定化された人間関係に縛られながら、大事な時期を過ごすことになる場合が多いのです。

これは日本の学校制度の問題ですから、個人の努力では何ともできない話です。

もちろん父親の転勤によって何度か転校したり、海外に留学すれなどの場合は、まだ固定化は防げますが・・・・

そうした閉鎖的な地域社会の中で子供たちが傷つき、縛られ、将来が閉ざされていくという場面を、実際問題私は何度も見ています。

そして、固定化されているが故に、その中で生きていくためには、なるべく嫌われないように生きていくことが求められます。

人から嫌われないように生きる人が多い原因

そしてその生き方をずっと続けていき、大人になる頃にはもうその生き方がしっかりと染みついてしまう。

人間関係を選ぶ自由がもう少しあると、自分が過ごしやすい環境を選ぶことができます。

自分に合う環境や人間関係を選べれば、固定化された人間関係でぶつかる問題に悩む度合いが少なくなる可能性が出てきます。

しかし、日本では自分で選べない環境のもとに、環境に自分を合わせるということを強いられる機会が多い。

そのために、周囲の人たちから浮き上がらないようにとか、周囲の人たちと歩調を合わせるようにといったことが最優先されてしまいます。

その副作用として、多くの日本人が人から嫌われないようにとか、人から自分が変に見られないようにとか。

そこばかり気にして生きていくことになりやすいのです。

カウンセリングでも多い相談事例

カウンセリングでは、こうした固定化された人間関係での経験の影響が少なからずあると感じるケースも少なくありません。

またその中で、相談者自身が人間関係を自分の中で固定化している。

「今いる場所でしか生きる場所がない」と思い込んでしまい、環境を変えるとか、人間関係を選ぶという発想に踏み切れない。

そのために今いる人間関係の中で窮屈さと闘いながら自分を押し殺して、その窮屈な人間関係に耐えるしかない。

こういうジレンマに苦しんでいる人が実に多いと感じます。

家庭や学校の人間関係の固定化に悩む

これは家庭環境、養育環境でもいえることです。

核家族化が進んだことにより、子どもが祖父母や地域の人たちと触れ合う機会が減りました。

母親も働きながらの子育てで、地域のふれあい、学校以外の人間関係を子どもに経験させる余裕がなくなりました。

子どもたちは親とのこうした固定化された人間関係から受ける影響が濃くなった。

もし、親が人間的に未熟である場合、負の影響をより受けることになります。

親が成熟している場合は大きな問題にはなりません。

しかし、未熟な親との固定化された人間関係となると、子どもはやはり自分の気持ちを押し殺して生きていくしかありません。

更には親の未成熟なパーソナリティーを踏襲したり、未成熟な親とのコミュニケーションによって、子ども自身の成熟が不十分となります。

保育園や学校も、残念ながら以前に比べて人間関係が希薄です。

保育士や教師、子ども同士の人間関係が希薄ですから、充分な人間関係の学習経験にも乏しくなります。

また、そのために固定化された親との人間関係の影響がより強くなります。

自分で選べる人間関係があることの大切さ

いずれにしても、人間関係に悩む人や自分に自信がないという人たち。

そういう人たちとのカウンセリングを続けてきて、この固定化された人間関係の負の影響を年々感じるようになってきました。

過去の環境は変えられませんから、これからの選択が大事になります。

固定化された環境にあることを自覚し、意識して自分でも人間関係を選択することです。

自分にとってよき理解者のいる人間関係。

自分にとってあたたかいと実感できる人間関係。

楽しい、面白い、大事にしたいと思える人間関係。

そういう人間関係を自ら求めていくことで、人生に明るい光が差し込んでくるといっても大袈裟では無いでしょう。

私たちの心は、あたたかい人間関係の中で育ちます。

私たちの人間性も、どんな人間関係を経験できたかが大きなファクターになります。

自分で人間関係を選ぶ。

あたたかい人間関係を見つけ、そこに自分も入っていく。

すぐには難しくても、先ずはそういう「視点」をもち、改めてご自分のいる人間関係や周囲を捉え直してみてください。 

【動画】人間関係が苦手な人に共通するあの特徴

人間関係が苦手だという人には、共通するある特徴があります。
カウンセリングを20年近くやってきて「ああ、こういうところは共通しているんだなあ・・・」と思いました。今回は人間関係が苦手な人に共通するある特徴について心理カウンセラーが解説します。

ぜひご覧ください。

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心理カウンセラー鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
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