先日、NHKのクローズアップ現代という番組で「“母親の後悔” その向こうに何が」という内容を放送していました。
新潮社から出ている『母親になって後悔してる』(オルナ・ドーナト 著)という書籍をもとにした放送でした。
インタビューでは、このタイトルの「後悔している」に反応した人が、「そんなことは許されない」という調子で答えている人もいました。
私は「子育てほど難しい仕事を知らない」とずっと言ってきました。
ビジネスで成功していても、子育てで失敗している人もいるくらいですから、難しいんですよ。
だから深く悩んだり長い年月苦しむ母親がいるのは、致し方のないこと。
では、子育ての何がいったいそんなに難しいのか。
子育てで私たちが得られるものとはなにか?
心理カウンセラーとしてそうした母親、お母さんたちに伝えたいメッセージとして書きました。
【筆者プロフィール】
心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。コーチとしても様々な目標達成に携わる。
著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」は台湾でも出版された。
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そもそも子育ては大変な仕事なんです
私はこの『母親になって後悔してる』という書籍を読んだわけではないのですが、内容としては子育ての難しさ、大変さに葛藤する母親の思いを綴った内容のようですね。
はっきりいって子育ては正直、誰がやっても難しいし大変なんです。
また、その難しさや大変さも人によって大きく違ってきます。
この違いがあるということもなかなか理解されないことが多い。
生まれてきた子供の特性によって、その労力も違います。
個性が強い子、甘えん坊の子、気性が激しい子、神経質な子、発達障害のある子など、生まれ持った気質の違いなどがあります。
子育てに対する価値観や捉え方も、人それぞれ違います。
お母さんの気質もパーソナリティーもいろいろなので、子育てをしやすい人と、人一倍努力が必要な人とにも分かれます。
だから一概に「子育て」とひとくくりに語ることはできません。
愛したいのに愛せないと悩む母親の苦悩
私は以前、ブログで「娘の幸せに嫉妬する母親の心理」というコラムを書きました。
https://counselinglife.com/?p=44879
この記事は私のブログではアクセスが一番多いんです。
しかし、これは「娘」の立場から書いたもの。
娘の幸せを全否定する母親というのは、実際に多く存在するのも事実です。
しかし一方では、子どもを愛している、愛したいと思っていても、思うようにいかない子育てに悩んでいる母親が多くいるのも事実です。
これは「娘の幸せに嫉妬する母親」とは全く別。
こうした子育てで経験する苦しみ、悲しみ、葛藤についてもこれまでカウンセリングで数多くの母親から話を聞く機会がありました。
子育てにはある程度の自己犠牲が必要になるから難しい
子育てをする場合、する側にはある程度の「自己犠牲」が伴います。
自分の好きなことややりたいことかもしれないし、自分がゆっくりする時間かもしれない。
もちろんいろいろな工夫や協力を得ることで、子育てとの両立を模索することはできます。
しかし、誰もがそのようにはいかないし、自分の何かと引き換えに子育てを頑張るという選択をする人もいます。
子育てには多くの時間と労力が必要になるので、子どもがいなかった頃と同じような暮らしというわけにはどうしてもいかないことが多い。
そうなると何かを犠牲にすることなしに、子どもを育てるということはできません。
何を犠牲にするのか、犠牲にしてでもそこに意味を見出せるのか、そういったこともあります。
本当にいろいろ考えさせられるし、工夫や協力が必要。
だからこそ、子育ては難しいし大変で、悩むことがいっぱいあります。
だから「なぜ自分がここまで犠牲を払わなければならないのか」「どうしてこんなに苦しまなければならないのか」という思いになるのも無理のないはなし。
悩んでいる当人にしてみたら、こうした思いでいっぱいになるはずです。
子育てには周囲のサポートとあたたかいまなざしが必要
本来、子どもを育てるのは母親だけですることではありません。
父親や祖父母、地域の人たち、保育やv教育現場の人間、その他、複数の人間が支えあって成り立つものだと考えます。
昔にくらべ、現在は女性が社会進出できる時代。
家庭によっては「しなければならない」という背景や事情もあるでしょう。
だから、そうした人たちの協力が不十分だと、子育ては途端に大変になります。
また、こうしたサポート体制が十分であっても、母親にしてみたら子育てはやっぱり難しくて大変なんです。
周囲の人たちはそういう前提で、そういうまなざしで母親とその子育てを見守っていくことが望ましいと思います。
子育てで自分を責める母親たち
カウンセリングでは、母親自身が「自分が未熟だから」と訴えるケースもあります。
これはある意味「娘の幸せに嫉妬する」母親とは真逆の捉え方です。
問題を自分に求め、自分が変わろう、成長しようとしているわけです。
しかし、ここも考え過ぎると「自分を責めるだけ」になってしまいます。
自分を責めずに、自分の問題点を直視して改善に取り組むというのは、言うほどやさしいことではありません。
私のカウンセリング経験からいうと、そういうお母さんはまさに全身全霊で取り組んでいる感じです。
母親の後悔や苦悩は一人一人違う
このように子育てというのは、本当にいろいろなことを親に問いかけてきます。
その問の一つ一つに対して、しっかりと自分の答えを探すことが必要にもなります。
ただ、そうした取り組みは決して無駄にはなりません。
時には理不尽なことを言われたり、偏見や差別に傷つくこともあるでしょう。
感情的になってしまった自分を責め、不甲斐ないと思うこともあるでしょう。
しかし、その一つ一つの経験は決して無駄にはなりません。
この葛藤や苦しむ経験を「後悔」と呼ぶなら、後悔したことが一瞬でもないという母親などいないのではないでしょうか。
子育てを一人で抱え込まないことが大切
子育ては苦しいと一人で抱え込みやすいところがあります。
なぜなら、誰しも自分の子育てを責められたり、否定されたくないものだからです。
しかし、苦しむのは、自分なりに精一杯やっているから。
そして、いろいろ重なって、自分のキャパを越えてしまったのかもしれない。
そんな時は、最終的には自分のキャパを増やすか、誰かに助けてもらうのが賢明です。
助けてもらうには、自分の苦しみを理解してくれる人に相談したいものです。
否定せず、労ってくれたり、大丈夫と思わせてくれる。
そういう人との交流こそが、新たな力をくれるものです。
「後悔」は力に変えられる、理解者は必ずいる
「後悔してこその子育てだ」と言ってくれる人もいるでしょう。
そう言える人は、自分も同じ道を通ってきている可能性が高いのです。
世間は狭いようで広く、遠くに目を向ければいろいろな人がいます。
一人で抱え込まず、信頼できる人を探し、支えあっていく。
難しくて大変な子育てに喜びを見出すためにも、そんな関係性は大切なものです。
今、行き詰まっていたとしても、その子育てにはまだ「先」があるんです。
理解してくれない人は、なかなか理解してくれません。
もしかしたら周囲に理解してくれる人がいないかもしれません。
でも、理解してくれる人はその先に必ずいます。
心ある人は、人の苦しみをまっすぐに受け止めてくれます。
そういう人は少ないのも事実ですが、必ずいることも事実。
その「後悔」を力に変えるためにも、支えあえる関係を求めてください。
【動画】子育ての答えはどこにある?
最後に「子育ての答えはどこにあるのか」について短い動画で解説しています。
子育てに行き詰まったときなどに、ぜひご覧ください。
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