逆境に負けない人間になるには、一つ一つの挫折経験から学ぶことが一番です。
挫折などの苦労体験は私たちに人間的な厚みをもたせてくれます。
気持を強くしようというよりも「学ぶ」という姿勢が大切です。
「この逆境や挫折から私が学べることは何か?」という問いをもって生きることが、結果的に逆境に負けない人間に成長させてくれます。
以下、どういうことなのかを具体例を交えて解説します。
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挫折やトラウマからの立ち直りと回復
「他人と過去は変えられない」
そういう言葉がありますね。
確かにそうなんですが・・・・・
カウンセリングでは、過去の経験についていろいろな角度から検討するときがあります。
もちろん、無理に話してもらうのではなく、相談者の意志で話されたことについてです。
そのとき、過去に何があったかということも大事なのですが、その過去をどう捉えているかは、もっと大事なんです。
私たちにとって、過去に起きた出来事(事実)は、変えることのできないことです。
でも、その出来事(経験したこと)をどう捉えるのか?
その「捉え方」は、変えることが出来るんですね。
過去の失敗やトラウマ、挫折、それによる劣等感。
失われた自信、信頼、人生への希望。
それらも、この捉え方が変わることで、克服、そして前進するための道が見えてきます。
いじめのトラウマに苦しんだGさん
Gさん(40代女性)は、中学生のとき、いじめを経験しました。
小学生の時は自由奔放に教室で楽しく過ごせたGさん。
ところが、中学生になって、クラスには知っている子が一人もいなくなったそうです。
また、思春期に入ると、子ども一人一人は、急激な変化・成長期に入ります。
そのため、クラスの人間関係も、小学校のようにはいかなくなります。
複雑で難しい感じになっていくので、中学生になって人間関係で苦労するケースも多いんです。
Gさんの場合は、特に人に何かしたわけではなかったようです。
しかし、何か自分の言動が周りと少し違っていたり、目立つ子から疎ましがられたりしたそうです。
そして、段々と自分の周りから人が離れていき、やがて孤立するようになったそうです。
そのうち集団で無視されたり、物を隠されたり・・・・・
結局、そういう状況が中学卒業まで続き、Gさんは中学のメンバーが一人もいない高校に進学。
高校では楽しい学校生活を送れたそうです。
その後、進学した大学でも、特に問題はなかったそうです。
しかし・・・・・
社会人になってから、人間関係が徐々に行き詰るように。
周囲の目を気にし、自分を出せず、親しい間柄に関係を深めること出来なかったそうです。
その根本には、過去のいじめの爪痕がある。
ある時、Gさんはそのことに気づき、カウンセリングで解決したいと思ったそうです。
カウンセリングで成長したGさん
カウンセリングは半年間、十数回で卒業となりました。
Gさんは過去の辛い体験について、自らの意志で話をしてくれました。
途中、涙交じりに話された時もありました。
話していくうちに、過去の辛い体験への捉え方が少しずつ変化していくのがわかりました。
それまでは、いじめられる自分が悪いんじゃないか?
人は自分に危害を加える存在なんじゃないか?
そういう捉え方を無意識にもっていたことに気づきます。
冷静に捉え直そうとしたとき、その見方が偏っていたり、思い込みだったり、自分の捉え方のクセにも気づいていきました。
捉え方が変わっていくことで、Gさんの様子にも変化が出てきました。
話し方も簡潔でハッキリするようになり、顔つきも穏やかになっていきました。
職場の人たちも、その変化に気づかないはずはありません。
少しずつ周囲との会話が増え、職場の人間関係も良い方向に変わっていきました。
Gさんは徐々に、明るくなっていきました。
逆境の中にある成長のヒント
Gさんの捉え方の変化で、最も大きかったもの。
それは、
1)いじめは自分が悪いのではなく、する方(相手)の問題
⇒自己肯定感が上がった
2)人間はいろいろな人がいて、自分に優しく接してくれる人もいる
⇒人間観が肯定的に変化
という変化でした。
カギを握るのは、この変化が頭の中だけのものではなく、実感として深く感じられたことでした。
カウンセリングには、ある程度の時間(継続)が必要というのは、こうした気づきや変化を経験するためです。
腑に落ちる、腹に落ちる、得心するなど、実感として認識するには、それだけの経験値が要るからです。
早く、短期間で良くなることを目的としてしまうのは、そもそも、本末転倒なわけですね。
私たちが困難や苦しみから立ち直るには立ち直るのに必要な時間(経験値)があるわけです。
Gさんの場合、そうした辛い経験を中学生活のほぼ3年間経験しました。
しかも、それから30年の月日が流れています。
そんなに簡単に、早く解決できるはずもありません。
逆境や挫折、辛い日々に感謝すらできる日が来る
Gさんは、最後のカウンセリングの時に、こんな風に話してくれました。
「最初、カウンセリングに通っているときは、ちょっと不安でした。本当に通って自分を変えることができるのかと・・・・
でも、4~5回目あたりから、少しずつ変化を感じました。そのころから気持ちも落ち着いて、じっくり取り組もうって思いました。
今、振り返っていえることは、辛い経験だったけど、あのいじめと、これまでの苦労があったからこそ、自分はここまで本気で自分と向き合えた。
ここまで追い込まれなかったら、自分と本気で向き合おうとは思えなかったと思う。
そういう意味では、これまでの苦しみに感謝もしています。
もちろん、いじめた人たちは今も許せない。嫌なことは、今も思い出したくもない。
でも「それ以上の捉え方」が自分にできたことで、辛いことを力に変えるということの意味が、少しわかりました」
過去の出来事(事実)は、やっぱり変えることはできません。
その時経験した思いや感情も同じでしょう。
でも、同時に、捉え方は変えることができる。
捉え方が変わることで、新たに得るものも出てくる。
捉え方が変わることで、新たな思いや感情も芽生えてくる。
それが苦しみを力に変えることだと、Gさんは学んだというのです。
私はこのカウンセラーという仕事を続けてきて、こうした人間の可能性のすばらしさをいつも感じます。
人間というのは、学ぶことのできる存在。
過ちや失敗、苦難や苦しみからも、成長することができる存在だということ。
だから、人生で経験したりぶつかることは、全て無駄でも無意味でもないといえます。
過去は変えられない。
でも、過去の捉え方は変えることができる。
苦しみや困難、挫折経験も、力に変えることができる。
私はその可能性に賭け、その可能性をよりどころに、これからも相談者の変化・成長の一助になれたらと思っています。
挫折からの学びこそ最大の財産
人間関係は難しい、めんどうくさい、うまくいかない・・・・
実はこれ、ヤフーで「人間関係」と入力して検索すると、多く検索されているワードとして表示されるものです。
それだけ多くの人が、人間関係で様々な苦労をしているということでしょう。
もちろん、ヤフーの検索結果を待つまでもなく、人間関係の相談を私の所でも数多く受けています。
相談内容は様々なのですが、一番難しいところは、人間関係は自分一人じゃなく相手があるということです。
相手の態度、相手との関係が問題になってきます。
では、人間関係の問題を解決する最も重要なカギはなんでしょう?
そのカギは「人は自分の思い通りにできない」と知ることです。
こう書くと「そんなことはわかってる」とか、「それが悟れれば苦労しない」と言われそうです。
しかし、結論から申し上げるとそうなります。
「自分の思い通りにしない」ということですね。
職場でパワハラに悩んでる人には、転職を検討する場合もあります。
これだって、相手を変えようという話ではありません。
ここにいても自分にマイナスが大きいから、場を変えるという決断です。
人間関係の苦労には、相手の人間性の問題という側面と、自分が問題の種をまいているという側面。
大抵が、この両方の側面をもっていることが多いのです。
相手の問題性については、働きかけで緩和できるのであれば、働きかけ方を考えます。
働きかけでは限界がある場合は、自分がどうするか・・を考えます。
自分の捉え方・態度を検討してみるわけです。
あるいは、先ほどの転職という話のように、こちらが距離を取るか、離れるかということも検討します。
対処法を考えるという意味では、このような話になります。
しかし、大切なのは、そのプロセスの経験から何を学ぶかです。
意地悪な人がいたら、反面教師とし、自分は優しく人に接していく。
自分勝手な人がいたら、反面教師とし、自分は相手への心遣いを怠らない。
無責任な人がいたら、反面教師とし、自己責任の自覚をもって自己決断をする。
出逢った人から学ぶということによって、その苦労が生きてくるわけです。
私は時々、人間関係が「修行」だなと感じる時があります。
私たちは付き合う相手を選べるときと、選べない時とがあります。
選べるのであれば、自分がしっかりとした態度と眼によって選ぶ。
しかし、選べない場合、例えば親・上司などの場合は、そこで何を学べるかということを意識してみることです。
なぜこんなことを言うかというと、カウンセリングでそういう苦手な相手から様々な学びがあるということがわかってきたからです。
また、そういう相手から学びを得た人が、人間的にグンと成長する。
そういうケースが実に多くあったからです。
それは嫌な相手を黙らせるとか、嫌な部分を相手に気づかせることではありません。
相手を批判したり悪く言うのではなく、自分がその状況でどう生きるか。
そういう自分のあり方をその機会に問い直してみるわけです。
そうしたある意味での「修行」を通して、人として成長する。
そうやって問題を機会に変えていける方が、やっぱり「得」であり「徳」につながる。
私は本当にそう思います。
思うようにいかないとき
人生、思うようにいかないときがあります。
むしろ、思うようにいかない事のほうが、多いかもしれません。
仕事で、人間関係で、職場や学校生活で、家族の問題で・・と、いろいろあります。
人生、生まれてからずっと順風満帆だという人はあまりいないでしょう。
いえ、順風満帆だと言っている人も、実際には幾多の苦労を経験しているものです。
私たちは逆境の中にある時、とても苦しい思いをします。
「こうあってほしい」「こうしたい」「こうなりたい」と思っても、実際にはそのとおりにはいってくれない。
自分の望む結果になかなかならない。
そのギャップに私たちは大きなストレスを感じます。
正直、嫌なものですよね。
では、逆境に負けない自分になるために、私たちにどんなことが出来るのか?
逆境は人生のトレーニングだと捉える
自分は逆境のなかにある。
いろいろ不利な状況にある。
思うように物事がいかない。
これは一つの人生の「トレーニング」だと捉えてみてはどうでしょう。
多くのクライエントの方々を見ていると、人間の幸せの一つは、人として成長することではないかと感じます。
自分は人間的に成長したと実感できることは、とても幸せなことではないかと思うのです。
逆境というのは、そうした成長するためのトレーニングなのかもしれません。
あなたはいかがでしょう?
自分が人間的に成長できたという実感を得られたとしたら・・・・
これはとても喜ばしいことではないでしょうか?
そして今、逆境の中にあなたがあるとしたら、それはあなたが人間的に成長するためのトレーニングなのかもしれない。
腕立て伏せ、走り込み、腹筋運動など。
これはどれもしんどい、辛いメニューですよね。
でも、これを継続していくと、筋力やスタミナがついてきます。
逆境は人間的な成長を促してくれる
逆境というものも同じです。
心のスタミナ(精神力)やあきらめない気持ちを養うためのトレーニング。
当然しんどいし、辛いものです。
だからこそ、それに耐え、あきらめないからこそ、強くなれる。
人間的に成長でき、その喜びを享受できる。
それは私たちにとって、とても幸せなことではないでしょうか?
そして、あなたが人間的に成長することは、あなたの周りの人たちの幸せにもつながります。
人として成長すると、自分が辛いときでも、周りへの気遣いを忘れません。
自分のことは横に置き、人を助けたり、人に笑顔で接したりできます。
そういうあなたに接することで、周りの人も幸せになります。
そのためのトレーニング。
それが今の逆境であり、これから待ち受けている困難である。
そう考えてみれば、ぶつかりがいがあるというものです。
【動画】常に学び続ける習慣こそ最強のレジリエンス(立ち直る力)
最後に、逆境を乗り越え、挫折から立ち直るために必要な力「レジリエンス」について、短い動画で解説します。
実際のセミナーでの講義の一部ですが、反響が大きかったのでこちらでご視聴頂けるようにしました。
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