困難を乗り越えるために


困難を乗り越えるには、先ず困難を自分の味方と位置付けること。

そして、自分にできる努力を少しずつでも続けていくことが最も確かな方法です。

困難を克服できずに挫折してしまう場合、たいていこのいずれかが出来ていない。

つまり、困難を味方に出来ないか、努力が続けられないかです。

今回は困難に直面しても、その困難を乗り越える術を知って頂くために大切なことをわかりやすく以下にお伝えします。 

困難に立ち向かうために

目標を決め、それを達成しようと努力してもなかなか結果が出ない・・てことないですか?

実はこれ、誰がやってもそうなるんです。

努力を始めると、私たちはどうしてもすぐに目に見えた結果が欲しくなります。

なぜなら、私たちは自分のやっていることに「意味」を感じたいからです。

自分のやっていることを「無駄だ」と思いたくないのです。

自分のやっていることが無駄だと思ってしまうと、私たちは途端にやる気を失います。

「どうせ頑張ったって、報われないさ」

「こんな苦労が何の意味があるんだ」

「こんな事やって、いったい何になるんだ」

こんな風な思いが頭をよぎってしまうと、私たちの中にある意欲が失われていきます。

逆に、自分がやっていることは意味があって決して無駄ではない。

苦労はいつか、報われる。

そう思えることが、ある意味、モチベーションにもなります。

ところが、実際にやってみると、これがなかなか結果が出ないものです。

仕事にしても、習い事にしても、勉強でも、自分を向上させるということにしても、そうです。

目に見えた変化が出ないばかりか、大変なことばかりが続きます。

やがて「この努力、結果が出ないんじゃないか?」「意味ないんじゃないか?」という迷いが出てくる。

そんな迷いを打ち消しながら、何とかがんばる。

それでも結果が出ないと、更に意欲がなくなってくる。

結局その努力の先に何があるかをみることなく、その努力をやめてしまいます。

そんな経験ってないでしょうか?

ここで「成長曲線」というものを知っておくと、努力を続ける意味がもてます。

成長曲線は、初めは上昇しないんです。

上昇しないで低空飛行をしばらく続けるんです。

ここで、大抵の人が諦めてしまいます。

でも、そのまま努力を続けていく。

すると、かなりのタイムラグを経て、上昇を描き始めます。

カウンセリングに来ていた方でも、同じことがいえました。

カウンセリングの勉強をしていた方も、そうです。

上昇を待てずに努力をあきらめてしまった人を何人も観てきました。

私自身もこれまで、小さい努力から大きい努力まで、成長曲線を待てずにやめてしまったものがいろいろありました。

そういう時は、他のことを始めるけど、やっぱり続かず、次々と新しいことを見つけてはやめていきます。

やめてしまう人にしてみれば、いくら努力をしても結果が出ない。

つまり、成長曲線のタイムラグに耐えられないために、やめてしまいます。

しかし、成長曲線を経験し、よくわかっている人からすると、その努力、まだまだ足りないってわかるんです。

あきらめてしまう人にしてみれば、いくらやっても結果が出ない。

でも、結果を出してきた人からすれば「え?まだそんなに努力してないよね?」と見える。

「いやいや、まだ道半ば、これからでしょ?」と見えるんです。

望む結果が何かにもよりますが、最初の3~6ヵ月、場合によっては1年~3年は結果が出ないことがあります。

例えば、努力が続かなかった私ですが、カウンセリングの勉強や訓練は違いました。

実は、私がカウンセリングで相手の話を「ちゃんと聞ける」ようになるまで、6年かかりました。

プロのしっかりとしたレベルで聞けるようになるまでですね。

この6年、人によっては永いと思うようです。

しかし、私は短い方だと思っています。

なぜなら、私の師匠も6年かかったと言っていたからです。

当時、師匠が6年というなら、自分は10年かな?と思ってました。

だから、10年やってものにならなかったら、カウンセラーを辞めようと思ってました。

仕事でもスポーツでも、何かの技量を習得するには、成長曲線を経験します。

結果が出るまでコツコツと努力を重ねることで、やがて結果が出せるようになります。

つまり、最初はいくら努力しても結果が出ないのは当たり前。

初めから結果が出ることなど、まずありえない。

あったとしたら、それはまぐれか、たまたま上手くいっただけ。

その結果も長くは続かず、また上手くいかなくなります。

そんなことの繰り返しになるんですね、誰がやっても。

だから私たちは結果が見えない中、コツコツと努力していくしかないということですね。

最後に「成長曲線」に上手に乗る方法をお伝えします。

成長曲線の上昇時期を待てずに努力をやめてしまうのは、結果が出ないのに耐えられないからです。

つまり、別な言い方をすれば「結果にこだわっている」ということです。

物事、結果が出なければ意味が無い。

結果が出なければ、何も無いのと同じだ。

そういう捉え方をどこか無意識に持っているのかもしれません。

よく言われる「100か、0か」という捉え方。

100じゃなきゃ、0(ゼロ)と同じというわけです。

1位になれなければ、努力は報われないという捉え方ですね。

この捉え方があると、努力を続けること自体を単に「苦痛」「嫌な事」「我慢と忍耐」とだけしか思えないんです。

実際、努力には「嫌なことを耐えてがんばる」部分もあります。

でも、努力というのうは一方で、私たちにかけがえのない「経験値」という恩恵をもたらします。

結果を出そうとする努力の過程で、私たちは様々な「上手くいかないこと」を味わいます。

結果が全てだとどこかで捉えていると、この「上手くいかないこと」に耐えられなくなるんです。

でも、結果よりもっと大切なことは、努力の過程で得られる経験値だと捉えてみたら?

努力をすることそのものが目的に変ります。

そして努力することに意味を見出せます。

結果は気にせず、努力することそのものに意味をもたす。

だからこそ、数々の失敗にも意味を見出せます。

そうした試行錯誤に意味を見出せるからこそ、結果が出なくても、コツコツと努力できます。

私もこの事に気づくようになってから、以前より粘り強く物事に取り組めるようになりました。

結果ではなく、そこへの努力そのものが目的。

試行錯誤そのものに意味がある。

こうした価値観(捉え方)のシフトこそ、粘り強さを身につけるカギにもなります。

このような価値観(捉え方)のシフトこそ、自分(の行動)を変える原動力になりますね。

困難から学べる事がある

「あの苦しみがあったからこそ、今があります」

こんな言葉を本で読んだことはありますか?

自己啓発、心理系、エッセイなどの本には、この言葉が出てくることがよくあります。

では、本ではなく、実際にそう言っているのを聞いたことはあるでしょうか?

身近な人で、「今ではあの苦しみに感謝している」と実際に口にしたのを聞いたことはあるでしょうか?

実際にとなると、本で読んだという場合よりも、少ないか、全くないということになるかもしれません。

しかし、私はこうした言葉を、何度も直接耳にしてきました。

だから、この言葉を心底信じられます。

私がこうした言葉を耳にする一番多い場面は、カウンセリングの終盤や最後の場面です。

一山乗り越えたクライエントが、その道のりを振り返るときに口にする言葉です。

苦しんで、悩んで、本当に良かったと・・・・・

でも、多くの人が、にわかには信じられないでしょう。

苦しいこと、悩んだことなんて、もう、思い出したくもない。

これから苦しんだり悩むのだとしたら、そんなのは二度とごめんだ。

なのに「苦しんで良かった」とか、「悩めたことに感謝している」なんて・・・・

とてもじゃないけど、信じられない。

そう思うかもしれませんね。

でもね、本当なんですよ。

苦しみや悲しみを経験し、いろいろ思い悩んできた。

でも、だからこそ気づくこと、わかったことがあった。

そうなると、私たちはその気づいたこと、わかったことに、大きな価値を感じるようになるんです。

苦しみより、気づきの方に気持ちがいく。

だから、「苦しんで良かった」って言えるんです。

先日も、子どもの頃にいじめを経験した人が、そう言いました。

いじめは辛い、思い出したくもない。

相手のことはずっと許せないし、許したくもない。

でも・・・・・・

話しには続きがあるんですね。

その人は、こう言いました。

それでも、そうした苦しみによって、私は自分が愛されてきたことに気がついた。

周囲の人が、自分を気遣い、心配し、自分を思いやってくれてきたことに気づけた。

いじめ自体、とても理不尽なことで、絶対に許されない行為だと思う。

でも、そういう理不尽な経験を強いられたおかげで、周りの人たちのありがたみにも気づけた。

だから、

「わたしはいじめにあって良かったと思う」

その方は、そうおっしゃいました。

何とも大胆な発言です。

いじめは絶対に許されない行為。

100%否定すべき行為です。

しかし、そうした理不尽な行為を、自分がどう解釈し、どう位置づけ、どう生かしていくのか?

それは私たち一人一人に選択肢が与えられています。

もちろん、これは決して強要されるものではありません。

どういう選択をするかは、あなた自身にその権利があります。

ただ、最悪の経験であっても、それを自分の未来に生かすこと。

それは、捉え方次第で可能になることがある。

今日は、そのことをお伝えしたかったんです。

上司にパワハラや理不尽なことをされた。

だからこそ、その上司を「反面教師」として、
学べることもある。

心ない一言を言われ、心が深く傷ついた。

立直るのにたくさんの年月が必要だった。

でも、だからこそ、たった一言の重み、ありがたみを痛感した。

仕事が思うようにいかず、とても苦労した。

なんで自分ばかりこんな苦労をするのかと嘆いた。

でも、だからこそ、仕事で苦労している人の気持ちを理解したい。

生きていく上での苦しみ、悩み。

それは、自分が生きていく上での「宿題」です。

あるいは、たくましくなるための「トレーニング」です。

宿題は、解けば解くほど学力という力がつきます。

トレーニングを続ければ、筋力、体力がつきます。

人生の困難を経験すれば、気力や人間力が養われますよね。

その結果、培われた学力、筋力・体力、そして精神力が自分の中で大きな価値に変わります。

そのため、苦労や苦しみはいつしか、自分の「勲章」のようなものになるのです。

オリンピックを観て、多くの人たちが感動するのも、このプロセスを知っているからです。

「あの苦しみがあったからこそ、今があります」

これは本に書いてるだけの言葉じゃありません。

まして、絵空事(えそらごと)などでもありません。

あなた自身にもいえる「真実」なんです。

だから、今ある苦しみや困難は、人生の「宿題」であり「トレーニング」なんです。

自分が成長できた後の「勲章」なんですね。

困難を克服するカギ

「困難を克服するために必要な力とは?」

昨今、いろいろな出来事が起きています。

テロ事件、不正事件、ハラスメント事件、天災・・・・

それぞれが大きな困難に直面することになっています。

これは、全く他人事ではありません。

大企業といえども、一つの事件であっという間に存続の危機に瀕する。

そういう時代に入ったと考えてもいいでしょう。

今まで当たり前だったことが、一瞬にして消えていく。

あるのが当たり前だとたかをくくっていたことが、あっという間に目の前から消滅していく。

人からの評価や利益を得るためには、嘘やごまかし、不正など、手段を選ばない。

そうではなく、目の前のことに誠実に、ひた向きに取り組む。

そうして得られた結果こそが真に評価されていく。

様々な困難に見舞われることで、一人一人が「どう生きるか」を考えさせられる一年でした。

自分にとって大切なものは何か?

自分にとっての幸せとは何か?

そして「困難を克服する」ことそのものを学ぶかもしれません。

私たちの人生で出会う出来事。

その中には、避けることのできない困難も含まれます。

避けられない困難に直面したとき。

問われるのは、その困難とどう向き合い、いかに克服していくかです。

「自分の人生に、困難など起きなければいい」

そう思っていても、必ず困難は訪れます。

その困難に真正面からぶつかり、克服していく。

そういう経験の繰り返しが、私たち人間を育ててくれます。

人として成長できるということは、私たちにとって大きな喜びです。

人として成長し、様々なことを知る。

そこに幸せもあると私は思っています。

今、目の前にある困難。

これから遭遇するだろう困難。

そうした困難をいかに克服していくか?

克服するために、私たちに必要な力とは何か?

その力をどう身につけていけばいいのか?

そうした学びが今年からは特に必要になるでしょう。 

困難にぶつかる意味

カウンセリングの最初の面接の折に、私は

「●●さんなら、きっとこの問題を乗り越えていけると思いますし、私も微力ながら一緒に取り組んでいきたいと思いますが、いかがですか?」

と確認をします。

これは継続してカウンセリングを続けていく意思があるか無いかを確認する場面ですが、そのとき私はこの

「●●さんなら、きっとこの問題を乗り越えていけると思いますし・・」

の部分は、私の心の深い部分からクライエントの心の深い部分に語りかける感覚で伝えています。

相手の目をまっすぐに見て、一言一言をかみしめるようにしています。

そして多くの方が「よろしくお願いします。」という答え(応え)と共に、次の予約を入れていかれます。

そして、これまで多くの皆さんと、様々な問題に挑戦し、解決の道筋を捻り出し、困難を克服してきました。

今日も、そして明日も、同様です。

そう考えると、人生というのは、自分の目の前に現れた問題や困難を乗り越えていくことで、人間的に成長していくものなのかもしれませんし、そこに「生きているな」という実感をもつものかもしれません。

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心理カウンセラー鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
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