低い自己肯定感を高めるには、無理に高めようとすると逆効果です。
自分がなぜ自己肯定感が低いのかを理解し、自己肯定感の高い人の特徴を理解することです。
そして、自分の言動や態度、その一つ一つを意識することを繰り返せば、低かった自己肯定感を少しずつ高くすることが出来ます。
自己肯定感の低い自分を責めるのではなく、理解することがポイントです。
以下にそのポイントをわかりやすくお伝えします。
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自己肯定感とは
「自己肯定感が低いと思います」
カウンセリングの中で時折聞かれる言葉です。
自分をあまり肯定できていないと思う・・・ということですね。
自己を肯定できるとは、逆にいえば否定しいていないということ。
自分を否定するということほど、私たちにとって辛い生き方はありません。
自分を肯定できるということは、それだけでも幸せなことです。
この場合の肯定とは、評価や称賛ではありません。
どちらかというと「否定されない」というニュアンスでいいと思います。
そこにいることを許せるという感じですね。
本来自分の存在というのは、肯定したり否定したりするものではありません。
この世に生まれてきて、今の自分がいる。
ただそれだけの事実なのです。
例え誰かがその存在を否定したとしても、それはその人の価値観。
それに自分が賛同して自分自身の存在を否定する必要はどこにもありません。
ですので本来は自分の存在そのものは、肯定や否定の対象ではありません。
もし、自分がやったことが反社会的であったり、誰かの心を深く傷つけることであれば、その行動は否定されることはあります。
しかし、存在そのものは肯定や否定の対象ではないといえます。
ただ、私たちは生きていく上で、様々な困難にぶつかります。
そうした場面で前に進み、何らかの行動を起こすには、その行動を起こす自分自身の存在を「問題なし」と捉える必要があります。
問題ありと捉えてしまうと、行動そのものが起こせなくなるからです。
この「問題なし」が自己肯定であるともいえますね。
自己肯定感が低い原因とは
では、冒頭の言葉のように自己肯定感が低い原因とはなんでしょう?
それは、この世に生まれてきてからの経験にカギがあります。
これまでの人生経験の中で、自分を否定する捉え方につながる経験をしてきたからです。
一つは自分を強く、あるいは長い年月をかけて否定する言動に晒されてきたから。
親の養育態度が自分に対して否定的であった場合がそうですね。
自分を否定する態度や言葉が主であった場合です。
暴力であったり、暴力的な言葉であったりです。
「ダメな人間」「ぐず」「生まれてこなければよかった」と言われてしまう。
こうしたことを強く言われたり永く言われ続けると、「そうか、自分はそういう人間なんだ」と学習してしまうのです。
あるいは両親の離婚、親の依存症、家族の不和などに長期間さらされた場合。
こういう環境では私たちは自分の思いを押さえ続けて生きていきます。
そのため、自分の本当の気持ちを否定するようになって、自己肯定できなくなるのです。
もう一つは挫折体験をしたことで、自分は挫折者だと思ってしまう場合。
挫折者である自分はダメな人間、無能な人間、価値のない人間だと思い込んでしまうのです。
学校生活ではいじめ、友達とのトラブル、学業の挫折、先生からの否定。
他には職業人生での挫折、人間関係でのトラブルなどです。
こうした経験では誰もが自尊心を打ち砕かれるので、そこから自分自身が自分を強く否定するようになることがあります。
いずれにしても、自己肯定感が低いのは低くなる経験学習をしてしまったからです。
では、低い自己肯定感を高くするには、どうすれば良いのでしょうか?
一つには、自己肯定感の高い人の特徴に着目することです。
自己肯定感が高い人の特徴から学ぶ
自己肯定感が高い人は、自分のやることに迷いがあまりありません。
思慮を働かせて一呼吸置くことはあっても、迷いはしないのです。
行動するかしないか、もう少し考えるか、この判断がシンプルで早いのです。
また、自分を肯定しているように、他人に対しても基本的に肯定的に捉えています。
人と接するときも不安や警戒からでなく、親しみと心地よさから働きかけます。
そのため、相手からも好感をもたれやすいという傾向があります。
しかも、こうした働きかけを意識してというより、無意識に(自然に)やっています。
自己肯定感が高い人は、一方で自分の非や短所も把握しています。
そして、その非を認めるのも早いし、短所も受け入れて生きています。
非があったり短所があることを自己否定と結びつけないのです。
また、自分の正直な気持ちを自分の中で尊重できます。
たとえそれが否定的な感情や捉え方であったとしてもです。
尊重した上で、その状況や対人関係の中で是非の判断をします。
本当の気持ちを自分の中で否定していないので、相手に対して伝えることもできますし、伝えないこともできます。
状況判断から言わないという選択をしますが、価値観から「言えない」という状態にはなりません。
ここは感情的ではなく、とても理性的であるといえます。
肯定できる自分の言うこと、やることですから、迷いなく歯切れよい言動になります。
しかし、自己否定するためにエネルギーを使っていないので、周りをよく観察する余裕があります。
だから、歯切れよくものを言いますが、相手が不快になるような言動や態度は取りません。
自分の思ったことを言って大丈夫な場面では正直に言います。
しかし、そこに相手や状況への配慮を忘れません。
言い方、言葉や表現の選び方、タイミングなどについては、十分に気を利かせて発言します。
子どもの自己肯定感を育てる秘訣
この「自己肯定感」はいかに育っていくのか?
そういう研究は世界中で行われてきました。
世界中での様々な研究の結果、わかったことがあります。
それは、赤ちゃんの頃、つまり乳児期(0~2歳)に自分の欲求に出来る限り応えてもらう。
そういう経験を豊富にすることで自己肯定感が育つということがわかりました。
赤ちゃんは言語を覚える前には、泣くことで意思表示してきます。
泣くということは、何か不快なことがあるか、何かして欲しいことがあるか。
そういう時に赤ちゃんは泣きます。
そこで、お母さんやお父さんは一体何が不快なのか?どうしてほしいのか?
これを泣いている赤ちゃんを観察しながら探します。
そして、不快なことが取り除かれたり、欲求が満たされたとき、赤ちゃんは泣き止みます。
これが赤ちゃんが自分の欲求に応えてもらう代表的な場面です。
こう書くと、手が離せなくてどうしても構ってあげられない。
そういう時は、どうすれば良いのか?
そういう疑問が出てくるかもしれません。
どうしても手が離せない時は、赤ちゃんに少し待ってもらうしかないでしょう。
けれども多少がんばってでも、お母さんは出来る限り赤ちゃんの欲求に応えてあげようとした方が良いです。
それは、世界中の専門家の研究によって、自己肯定感が高くなると実証されているからです。
「多少がんばってでも」って書きました。
私は、子育てはこの「多少がんばって」の連続だと思っています。
赤ちゃんって、周囲への配慮ってしてくれないですよね。
「お母さん、今は手が離せないだろうから、泣くのを我慢するから、気にしないで」
こんな赤ちゃんいたら、ちょっと怖いかな(笑)
残念ながら、そういう気の利いた赤ちゃんは、世界中どこを探してもいないでしょう。
だから私たち親は「多少がんばって」でも、赤ちゃんに気を利かしてあげるのが賢明です。
こう書くと、またこんな疑問が出てくるかもしれません。
そんなにいう事を聞いてばかりで、甘やかすことにはならないの?
甘やかしてたら、わがままな子にならないの?
答えは「ノー」です。
もし2歳以降でしたら、欲求に応えてばかりいると、わがままな子になる可能性があります。
2歳からは、だんだんと自分の欲求をコントロールする力が芽生えてきます。
だから、この時期から「しつけ」などで、社会のルールを教え、伝えていくということを少しずつ始めていきます。
でも、乳児期(0~2歳まで)は、まだ自己コントロール(自律性)の力がありません。
その時期に我慢させることを覚えさせようとしても、自己コントロールの力はつきません。
むしろ、欲求の応えてもらえなかったという自己肯定感が低くなる経験になることもあります。
この時期は逆です。
少し乱暴にいうと、出来る限り甘やかすくらいでむしろ丁度良いといってもいでしょう。
自己肯定感を高めるために必要なこと。
それは、乳児期に自分の欲求に出来る限り応えてもらうという経験。
この経験を十分にを積み重ねることです。
そして、私たち親は、年齢が上になるにしたがって、この「欲求に応えていく」の度合いを、少しずつ減らしていけば良いのです。
わかりやすく言うと、乳児期は、欲求にこたえる割合はほぼ100%でもいいでしょう。
そして幼児期(2~4歳)では70~80%。
児童期(4~7歳)では60~70%。
学童期(7~12歳)では40~50%。
これはあくまでも例えで、この通りの比率ということではありません。
年齢や発達と共に、欲求に応えていく度合い、バランスを考える。
そのことをお伝えしたいのです。
もし、あなたのお子さんが小学校5年生だとして、欲求に応える度合いはどうか?と考えてみます。
少し少ないかもしれないので、もっと自己肯定感が育つように、もう少し多くするかな?
あるいは、少し多かったかもしれないので、自己コントロールを身につけてもらうために、もう少し少なくするかな?
こんな風に捉え直していけばいいわけです。
ちなみに、子育てを楽しむコツは、子どもの欲求に応えることの「喜び」を知ることです。
こちらが手が離せなかったり、気持に余裕がなくても、それでも「多少なりともがんばって」応えようとします。
その結果、子どもが泣き止み、笑顔になったり、そのままスヤスヤ寝てしまったとします。
その時の赤ちゃんの顔を、よ~く観てください。
私たち親は、この瞬間、心の中に静かな喜びを覚えてきます。
子どもを満たそうとすることによって、私たち親の心も満たされてくることを知ります。
子どもに振り回されることの喜び。
そういう喜びがあるということも、子育ての経験によって教えられることではないでしょうか。
自己否定の負のスパイラルから抜け出す3つのカギ
最近は、電話やSkypeによる相談が増えています。
電話やSkypeなので、それこそ北海道や九州、海外の方からもご相談を受けています。
では、どんな相談が多いのか?
最近でいうと、仕事や職場の人間関係の悩み、そして「不登校」のご相談ですね。
そして、失った自信を取り戻したい、今の自分を変えたいといったもの。
仕事の悩みも、人間関係の悩みも、自分に自信を失わせるものです。
そして、不登校という経験自体も、いろいろないきさつがあってのことですが、やはり自分に自信をもてなくなる経験です。
いずれにしても、自分に自信がもてない。
それは、とても辛い状態です。
何をやるにも自信がないため、行動の範囲が狭くなります。
また、物事に万事、消極的になりがちです。
だから余計に上手くいかないことが増え、そのことによって更に自信がなくなります。
この悪循環、それに伴う葛藤は、なかなか周囲に理解されないことが多いものです。
この理解してもらえないという思いが、自信のなさに拍車をかけてしまいます。
自信を失う負のスパイラル。
この負のスパイラルから脱出するには、大事なポイントが3つあります。
1)わかち合う
自分の苦しみ、悲しみ、やりきれなさ。
つまり、否定的な気持ちや考え、感情などですね。
これらを誰かとわかち合うという経験です。
理解ある人、心ある人、信頼できる人に、自分の胸の内を理解してもらうんです。
そうすると、「自分は変ではないんだ」「自分はダメなんかじゃないんだ」と、自然に思えるようになっていきます。
この「わかち合い」で得られるパワーはなかなか強力です。
カウンセリングでいう「共感された」という経験ですね。
2)行動する
今までやってきたことが上手くいかなかったとします。
つまりそれは、「今までやってきたこと」に原因があるわけです。
ならば「今までとは違うことをやる」必要があります。
同じことを繰り返しても、上手くいかない。
それならば、違うことをやって、どうなるか?
そういう選択がとても有効となります。
しかし、これがなかなかできません。
なぜなら、自分がやったことがないこと、経験したことのないことに対して、私たちはどうしても不安になります。
未知のことに対しては、まず、不安が先に立ちます。
でも、行動して、そこで「大丈夫だ」とか、「心配したほどじゃなかった」といった安心感。
こういう実感を得ることが、自分の自信を取り戻すには非常に有効なんです。
カウンセリングでは、カウンセラーが、一歩踏み出すために、寄り添います。
そういう人間の存在が、私たちに新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。
この「大丈夫だ」「そんなに心配ないんだ」という実感。
この実感を少しずつ積み上げていく。
小さな小さな成功体験を積み重ねていく。
これが、自分の中で強い説得力を持つようになります。
3)引き出しを増やす
1)と2)によって、自分の中で変化が起こります。
新たな経験と実感を得ることで、物事の捉え方に幅が出てくるんです。
悩んでいるときや、上手くいかないときは、大抵、狭い観方に囚われていたり、
視野が極端に狭くなってものが見えなくなっているものです。
捉え方や視野を拡げるというのは、頭の中だけで考えていても、そうそうできることではありません。
やはり、何かのきっかけが必要になります。
そのきっかけとして非常に有効なものが、先に挙げた1)わかち合い と 2)行動する です。
「ありがたいな」「安心するな」
「そんなに怖がることはなかったんだ」
行動や経験によって得られる、こうした実感。
この実感が、私たちの心を動かし、物事の捉え方を変え、行動を変えていきます。
そうして、少しずつ積み重ねられる経験値によって、私たちは、自分の中に「大丈夫だ」「できる」といった「確証」を持てるようになります。
これが「自信」になっていくわけです。
自己肯定感を高める最も確かな方法
ここまで来て、最後に一番大事なことをお伝えします。
それは、自信を取り戻すこうしたプロセスは、まさに「学び」のプロセスだということです。
今まで目を向けていなかったことに目を向ける。
今まで忘れていたことを思い出す。
今まで思いもよらなかったことにハッとする。
これ、全て「学んでいる」ということになります。
何かを学んでいくからこそ、それが自信に変わります。
つまり、自信を失ったということは、
あなたに学ぶ必要があるということを意味しています。
自信を取り戻した人というのは、改めて新たなことをいろいろ「学んだ人」です。
学んだからこそ、自分が成長する。
自分が成長したからこそ、自信につながる。
つまり、失った自信を取り戻すとは、改めて学び直しの経験をするということ。
それも、知識や情報を増やすだけではなく、行動と経験、そして実感を伴った「生きた学び」ですね。
本を読むだけではなく、それを実践する。
つまり、「わかち合い」を経験し、「行動」から新しい経験を積み重ね、「引き出しが増える」ことで実践の質もあがる。
この繰り返しのサイクルを回せるようになると、自分に自信がもてるようになるわけです。
行動⇒気づき⇒実感⇒学び⇒自信⇒さらに行動
カウンセラーというのは、そうした取り組み(サイクル)の伴走者です。
「あなたの心はこうですね」なんていう分析者じゃない。
人の心を操作する人間でもない。
人生のある部分での伴走者です。
学び、成長するための道のりを歩むのに、一人では難しいときの伴走者。
問題を解決し、自分に自信をもってもらう。
そのための伴走者です。
だから、問題が解決するだけはなく、その人(相談者)に成長して頂く。
そういうことが、解決と必ずセットになってきます。
いずれにしても、わかち合いと行動。
その結果として「引き出しが増える」ということ。
これらがセットで経験されるからこそ、自分に自信を取り戻し、自分が変わったと実感できるんですね。
そして、自分が変わることで、行動が変わります。
行動が変われば、結果が今までとは変わります。
今までとは違う結果の積み重ねによって、あなたの人生が変わります。
傷ついた心にエネルギーを取り戻す。
下を向いて生きてきた人生から上を向いて歩く人生に変える。
一人でもがいていた自分を、人といろいろな思いをわかち合える自分にする。
そのために一番必要な事。
それは「学び続けること」だと思います。
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