完璧主義「こうあるべき」を捨てる方法


完璧主義は、自分が無意識にもっている「捉え方」が変われば治ります。
「こうあるべき」「こうでなければならない」という極端な思い込みが出てくるのは、ほんの一瞬。
一瞬だからこそ、気づくのが難しいわけです。
では、どうすればそうした完璧主義から抜け出し、楽に(自然に)生きられるのか?
6000回以上のカウンセリングから、こんなことが見えてきました。

完璧主義の原因と心理

私たちはなぜ悩むのか?
どうして腹がたったり、不安になったり、感情的になるのか?
それは私たち独自の「捉え方」が影響しているとお伝えしてきました。
その「捉え方」の中でも、非常に強力な影響を及ぼすものがあります。
それが「こうあるべき」「ねばならない」という捉え方です。
心理学やカウンセリングの本を読んだ人なら、既にご存知かもしれません。
「こうあるべき」「ねばならない」が、自分を苦しめるということを・・・
しかし・・・・・
そうですね。知っているだけでは意味がありません。
知っていることを、実際に生かせなければ、知っている意味もないですよね。
自分が実際に人に会ったり、何かをするとき。
その瞬間に「こうあるべき」「ねばならない」に影響されないこと。
そして、もっと自由に、もっと柔軟に、もっと寛容にいられること。
その結果、精神的にタフになり、粘り強くなり、落ち込んでもすぐに回復できる。
これが一番大事なことだといえるでしょう。

自分が無意識にもっている「思い込み」に気づく

「こうあるべき」「ねばならない」という捉え方を、ここでは「思い込み」と呼ぶことにします。
「もっと自由に」と書きました。
この思い込みの厄介なところは、私たちの視野を極端に狭めてしまうところです。
思い込みによって、物事を一面的にしか捉えられなくなります。
それも、思い込みですから、自己流に捉えてしまい、現実的ではないわけです。
しかも、こうした思い込みを私たちは無意識に持っている場合が多いのです。
つまり、自分でどんな思い込みをもっているかに気づいていない。
気づかずにもっている思い込みがいろいろあり、それが自分をコントロールしてしまっているということが多いのです。

思い込み(イラショナルビリーフ)に気づく

例えば、「自分の人生に困難はあってはならない」という思い込み。
この思い込みがあると、実に生きづらくなってしまいます。
なぜなら、現実的にみれば、人生で困難は避けて通れないですし、困難を経験しない人はいないからです。
「あってはならない」ですから、困難にぶつかるたびに、必要以上に苦しい思いをしたり、感情的になったりします。
つまり、この思い込みは「非現実的」ということになります。
論理療法を創始したアルバート・エリスは、これを「イラショナル(不合理な・非論理的な)ビリーフ」と呼んでいます。
また、「人は社交的であるべきだ」という思い込み。
自分が上手くコミュニケーション出来ない場合、この思い込みが働くと、極端に落ち込みます。
私たちには、いろいろな個性や特性があります。
人によって得意なこと、不得意なこともあります。
社交が苦手な人もたくさんいます。
しかし、実際にそれでも幸せに生きている人もたくさんいます。
つまり、「社交的であるべき」「ねばならない」は、非現実的なわけです。
確かに、社交的であることは、大きなメリットの一つといえます。
しかし、なければおしまいというのは、あまりに短絡的です。
本当に「社交が苦手」では、この社会で生きていけないのでしょうか?
私はそうは思いません。
現に、苦手なのにたくましく生きている人を、私は何人も知っています。
では、思い込みを「現実的な捉え方」にまで広げていきましょう。

現実的、建設的、合理的な捉え方(イラショナルビリーフ)へ

困難にぶつかっても人生を楽しく、幸せに、そして建設的に生きていくには、例えば下記のような捉え方なら可能でしょう。

「人生に困難はつきもの」「困難こそ自分を磨いてくれる」という捉え方。
「困難はできれば避けたいけど、避けられない時もある」
「困難は嫌だし、嫌いだけど、いざというときはしょうがない」

こうした捉え方の幅をもっていれば、生きるのがとても楽になります。
なぜなら、いざ困難にぶつかったとき、その困難を受け容れられるからです。
受け容れられるから、どうすればいいかを冷静に考えられます。
感情的にならず、現実的な見極めと判断で、適切な解決行動が取れるからです。

「社交的でなくても幸せになれる」「自分は一人が好きで楽だけど、それでいい」
「時々社交的な場は”仕事”だと思って、そこに居ればいい」
「社交的であれば望ましいけど、そうでなくても人生楽しめる余地はある」

こういう幅のある捉え方を複数できれば、精神的にかなり楽です。
いざ社交場で上手く会話が出来なくても、それほど極端には落ちこまずに済みます。
思い込みのもう一つ厄介なところは、自分で自覚できないことがあるところです。
「社交的であるべき」「社交性がないと、この社会では生きていけない」
そういう思い込みを無意識に持っている。
あるいは、持っている自覚はあっても、思っていた以上に強く働く。
そこにも、私たちの苦労があるのです。

カウンセリングで精神的に楽になる理由の一つ。
それは、この思い込みがはずれるからです。
自分の思い込みがいかに自分を苦しめていたか。
そこに気づくと、そうした思い込みを持つのがバカバカしくなるのです。

バカバカしくなるため、自ら手放すことが容易になります。
あなたも、自分がどんな思い込みを持っているのか?
実際に、その思い込みがどんな風に働いてしまうのか?
何かを考えたり、人と話をする際に、ぜひ、自己観察してみてください。
次に、完璧主義、つまり何でも100%主義ではなく、実は60%主義こそ人生が良い方向にいくということについて解説します。

完璧主義をやめる~60%主義のすすめ

今回は「60%主義のススメ」というお話しです。
これは、努力は60%でいい。
けれども、結果も60%でいいと受け容れる。
そういう「捉え方」のことです。

努力は60%でいい。だから結果も60%でいい。

ものごと、なかなか行動に移せない。
そういう時は、無意識に「100%主義」に囚われていることがあります。
100%頑張らなきゃとか、100%上手くいかなきゃとか・・・・
そう意識してしまうと、肩に力が入ります。
余計な力み、気負いは、焦りを生みます。
焦りだすと、失敗が怖くなります。
失敗が怖くなると、なかなか行動できなくなります。
失敗を恐れながらやっても、上手くいきません。
この原因が、実は「100%主義」であることがあります。
完璧を求めていないつもりでも、気がつくと、いつの間にか完璧を求めている。
よくあるのが、人間関係での場面。
誰からも嫌われたくない・・というのも、実はこれ、100%主義の典型です。
誰からも嫌われたくないと意識すると、更に、誰からも好かれたい・・になります。
誰からも好かれたいという意識は、いつの間にか「誰からも好かれなければいけない」になります。
人間関係で、これほどのプレッシャーって無いんです。

生きるのが楽になる60%主義

こんなプレッシャーを自分にかけてしまったら、私でも、誰と話すのも怖くて仕方ありません。
ここで、「60%主義」の登場です。
人間関係も、60%でいいや・・という意識です。
こういう意識で臨むと、余計なプレッシャーが減り、「必要程度の緊張感」だけが残ります。
「必要程度の緊張感」があるからこそ、相手に失礼のない配慮が保てます。
会話のやり取りも、100点中の60点でいい。
その努力も、60%位でいい。
その代わり、結果も60点、60%で満足するんです。
会話の60%はまあまあだった。
けれども、あとの40%は良くなかった。
すると、100%主義でいると、すごく落ち込みます。
なぜなら、そのやり取りは、マイナス40点になるからです。
40点のマイナスというのは、精神的なショックも大きいですよね。
でも、初めから60点でいいとします。
そうすると、50点の出来だったとしても、マイナス10点程度の減点です。
それほど落ち込まず「まあまあだ」と思えます。
この「60%主義」のメリットは、とにかく焦りや不安がグッと減ることです。
最初から高望みはしていないので、上手くいかなくても落ち込みにくいのです。
落ち込みが少ないから、次の行動へのモチベーションが落ちません。
コツは、結果も60%で満足することです。
初めから結果も60点で良しとすることです。
ただ、60%の努力はするという意味です。
全く怠惰にするということではありません。
また、手を抜くという感じとも、違います。
一つ一つ、丁寧に行うのですが、焦らず落ち着いて取り組むための意識です。
60点という実績を、先ずは作ってしまうんです。
人にあいさつをして、無視されたらどうしよう・・・
そういう怖さがあるために、人に声をかけられないとします。
こういう時も、60%主義でいきます。
あいさつをしても、こちらをチラッと見て、少し頭を下げたとします。
結果としては、100%は、こちらに応えてくれませんでした。
でも、60%は応えてくれたと捉えます。

人間関係も相手に100%を求めない

ここでもう一度「コツ」をお伝えします
「60%主義」というのは、最初から60%の結果を満点とすることです。
だから、あいさつする際には、既にこの程度のリアクションでも十分過ぎると思っている状態です。
私たちは、気づかぬうちに、相手に「見返り100%」を求めがちです。
だから、その希望値にちょっと届かないだけで、大きな不満や落胆を覚えてしまいます。
しかし、初めから「60%で満点」としておけば、50%でも80点以上となりますよね。
相手への期待値、結果への期待値が、最初から60%だと、そんなに失望しなくなります。
この値、あなたの納得できる数値でOKです。
だから、50%でも、40%でもいいんです。
そうすると、自分の中でハードルが下がり、焦りや不安がかなり軽減してくるはずです。
「60%主義」で、努力も結果も捉える。
すると、意外に結果が上手くいくことも少なくないんです。
なぜなら、余計な力みや緊張がほどけ、必要な緊張感だけが残るため、それだけ力を発揮しやすくなるからです。
感覚としては、「淡々と行う」感じでいいと思います。
過度な高揚感や盛り上がりには欠けますが、その位の感じで丁度良いくらいです。
ちょっと物足りないくらいでいいということになります。
今、歓送迎会シーズン真っ盛りです。
しかし、この歓送迎会シーズンが「憂鬱だ」という人もいます。
人との会話が苦手な人にとって、こうした大勢の人が雑談を交わす場は、居たたまれない時間になるからです。
こんな時も、60%会話ができれば十分と最初から決めてしまうのも手です。
あとの40%が会話のない一人の時間でも、60%は誰かしらと会話があったのならいいでしょう。
もちろん、この数値も、自分の納得のいくものにすればいいと思います。
40%頑張れたと思えれば、合格としてもいいんです。
その方が、100%を意識して何もできないより、どれほど前に進めるかわかりません。
苦手なことを克服するときにも、この「60%主義」は武器になります。
自分がもし、100%主義に陥っていると気づいたら、この「60%主義」という捉え方を意識してみてください。
自分の精神状態がずいぶんと違ってくるはずですし、意外に良い結果が出たりするものです。

完璧主義は自覚がない

完璧主義は、思った以上に厄介です。
厄介な理由の一つは、自覚がないからです。
つまり、自分が完璧主義に陥っているという、その自覚がない。
そういう場合が多いんですね。
あなたはいかがでしょうか?
自分を苦しめている原因や正体がわからないのは、やっぱり辛いものです。
わからないから、なぜこんなに苦しく、落ち込むのか、自分でもわからない。
だから、考えればかんがえるほど、苦しくなったり、落ち込んだりします。
苦しい、落ち込む、不安だと感じたら、まず、自分は完璧主義になっていないかをチェックしましょう。

常に完璧主義であることが問題

ちょっと考えてみてください。
私たち人間は、そもそも常に完璧ではいられません。
上手くできることよりも、上手くできないことの方が断然多い。
性格だって、いろいろクセも持ち合わせています。
それが現実です。
自分に対する完璧主義というのは、そうした不完全さを否定しているわけです。
どんなことでも上手くできなければならない。
この「~しなければならない」が自分を追い込んでしまいます。

「人からはいつも良い評価を得なければならない」
「物事、いつも上手くできなければならない」
「誰からも好かれるヒーローでなければならない」

この審査に合格できる人など、果たしているのでしょうか?

完璧主義の治し方

そもそも、こうした完璧主義というのは、「できれば~でありたい」という願望が極端になったもの。
「できれば、物事、上手くやれればという願いがある」という思いが、いつの間にか「物事、いつも上手くできなければならない」という完璧主義へと過度な変貌をとげてしまったのです。
このように完璧主義に追い込まれると、うつになる危険性も出てきます。
うつ状態、うつ病にかかると、こうした完璧主義に押しつぶされそうになります。
高すぎる目標を立てて、その目標に縛られ、やがて心が折れてしまいます。
(この場合、勇気をもって、目標を下げると楽になり、却って上手くいきます)
心が折れるとほんとうに辛いので、まず、完璧主義を見直しましょう。
また「傷つきたくないから完璧主義になる」と言う人もいます。
しかし「完璧主義だから傷つきやすくなる」ともいえます。
ですから、先ずは自分が完璧主義に陥ってないかをチェック。
続いて、その完璧主義の捉え方「いつも~しなければならない」を見直します。
どうしてもそのあたりの調整が上手くいかないときは、専門家のカウンセリングを受けて、一緒にその作業を手伝ってもらいましょう。
カウンセラーはこうした作業を数多くの人たちと取り組んできたので、手伝ってもらうと、一人でやるよりもスムーズに、そして早く抜け出せます。

完璧主義を目指してもいい?

自分は完ぺきでなければならない。
確かに、そう考えてしまうと窮屈になります。
現に、そう思うあまりに、失敗を恐れたり、人からどう見られるかを気にする場合が出てきます。
しかし、完ぺきを目指すということは、本当に良くないことなのでしょうか?
先ず、このあたり、誤解をしている人がいます。
そもそも「完ぺきでなければならない」と思うことと、「完ぺきを目指して努力すること」とは、実は同じではないんです。

「完ぺきでなければならないと思うこと」と、「完ぺきを目指して努力すること」とは違う。

スポーツの世界では、自分のパフォーマンスに対して常に完ぺきを求めます。
完ぺきを目指して、様々なトレーニングを積み重ねていきます。
そういう目標の立て方によって、上手に力の向上に努めるわけです。

「完璧でなければならない」という思い込みは成長を生まない

一方、完ぺきでなければならないという思い込み。
これは、今の自分が完ぺきでなければ、人からダメだと思われる。
そういう思い込みがベースにあったりします。
だから、ちょっとでも失敗の可能性のあることは極力避ける、やらないという選択になってしまいます。
なぜなら、失敗は不完全を意味するからです。
あなたはいかがでしょう?
この思い込みの一番の副作用は、そこに成長や向上、前進が生まれないということです。
何らかの困難に直面したり、問題にぶつかったりしているとき。
そういう状況を突破することが出来なくなるという副作用ですね。
さらに、大切なことがあります。
完ぺきを目指す人と、完ぺきでなければならないと思いこむ人。
この両者の一番の違いは何だと思いますか?

完璧ではないということをしっかりと受け容れる

完ぺきを目指す人は、今の自分が完ぺきではないと思っています。
自分を不完全で、未熟で、様々な経験を必要とする人間だと捉えています。
だから「今の自分」は完璧でなければならない・・とは思っていません。
むしろ「今は」完ぺきでなくていい・・とさえ思っています。
「今は」完ぺきではなくてもいい。
でも、完ぺきを目指すことで、少しでも自分を向上させたい。
そう考えているんですね。
そもそも、人間は完ぺきになどなれるのでしょうか?
※この場合の完ぺきとは、失敗なく何でもできるという意味で使っています。
おそらく完ぺきになることは出来ないでしょう。
ということは、完ぺきを目指す努力には、終わりがない。
つまり、永遠の作業、果てのない努力ということになります。
そう考えると、完ぺきになることが全てと思ったら正直、やっていられません。

完ぺきはあくまで”旗印(はたじるし)”のようなもの。
大切なのは、結果ではなく、努力の過程にある「経験」です。

結果よりプロセス(経験)が大事

この経験の積み重ねが、自分というものを育ててくれる。
人間としての厚み、懐の深さなどを持たせてくれる。
だから、人生も自ずと豊かで感動の多いものになる。
人として豊かな感性が持てれば、様々なものを美しいと思えます。
ちょっとしたことに「ありがたみ」を覚えます。
人生に少しずつ彩(いろどり)が添えられていくようなものですね。
完ぺきはあくまでも”旗印(はたじるし)”のようなもの。
たどり着くことがなくてもいいんです。
ただ、その旗印の方を向いて前に進んでいく。
これは大切なことです。
すると途中には山あり、谷あり、紆余曲折あり。
嵐にあったり、転んでしまったり、平坦な道のりではありません。
でも、その山や谷、嵐を避けているだけでは、美しい花や空や道そのもののありがたさが身にしみません。
嵐が去り、空から光が差し、目の前に一厘の花が咲いていることに気づく。
その瞬間、私たちはそれを「美しい」と感じます。
そして、その花の美しさを通して、人生の奥深さに思いを馳せます。
そこから、人への優しさが生まれ、本当に大切なものは何かを知ることになります。
完ぺきでなければならない・・は幻想です。
でも、完ぺきを旗印にして努力することには、意味があります。
なぜなら、その経験の過程から、多くのことが得られるからです。
そして、そこから得られたものは、モノやお金とは比較できないもの。
心を本当の意味で豊かにしてくれるもの。
そして、静かに、そして深く感動させてくれるものだと思います。

【動画】完璧主義はうつになりやすい?

最後に、完璧主義の人はうつになりやすいので、その点気をつけるべきことと、どうすれば完璧主義から抜け出せるのかについて、改めて短い動画で解説します

日本は毎年うつと診断されるケースが100万以上の国です。

そのうつの根本に「完璧主義」が隠れていますので、この動画も参考になります。

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心理カウンセラー鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
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