ネガティブな思考や感情とどう付き合えば良いのか?
答えはネガティブな思考、感情の正体をしっかりと知ることです。
ネガティブな思考や感情を良くないもの、邪魔なもの、あってはならないものとして否定すればするほど、逆に余計にネガティブな思考や感情になります。
むしろ、自分のネガティブな思考や感情にまっすぐに向き合い、理解し、その奥にある自分の無意識に持っている捉え方を知ることで手放すことができるんです。
どういうことか?以下にわかりやすく解説します。
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ネガティブな感情の種類と手放し方
例えば苦しい、悲しい、悔しい、さびしい、腹立たしいなどの感情。
こうしたネガティブな感情は良くない感情だと決めつけられ、排除しようとしたり、消そうとしたりしがちです。
しかし、果たしてこれらの感情は本当に排除すべきものなのでしょうか?
喜怒哀楽というように、私たちはいろいろな感情を抱きますし、時には相反する感情を同時に抱くこともあります。
それゆえに人間は迷ったり苦しんだりもするものです。
しかし、その迷いや苦しみは、大きな成長につながることもあります。
自分の中からネガティブな感情が湧いたとします。
そうした感情が湧いたということは、まぎれもない事実。
その事実を本当に否定してしまうということは、自分自身の否定や自分の生き方の否定にすら、つながりかねません。
自分の中にネガティブな感情が湧いたとしても、そのことを肯定も否定もせず、事実としてそのまま受け容れる。
「ああ、今、自分は悲しいんだなあ・・・」
「今、とても寂しいって思っているんだなあ・・」
「傷ついたから、自分は腹が立ってるんだな」
こうして起きた感情をそのまま受け容れることが大切です。
自分の正直な感情を正直に(素直に)認める。
そうすることで、余計な力みやストレスから解放されます。
つまり、ネガティブな感情は手放そうとするより受け容れる方が、結果として手放せるということです。
今、起きている感情と対話をすることで、自分自身というものをより深く知るきっかけにもなります。
また、私たちはある種の悲しみや寂しさを抱えながら生きていく。
そういう選択をする場合もあります。
大切な人と死別した場合などもそうだと思います。
その亡くなってしまった悲しみ、もう会えないという寂しさ。
それは決して排除することも、決してしまうこともできません。
しかし、そうした悲しみや寂しさを抱えながら、その感情と共に生きる。
それは果たして不幸なことだと言い切ってしまっていいのでしょうか?
もちろん、その悲しみの大きさは人によって違いますから、全ての人に当てはまることではないかもしれません。
しかし、もしその悲しみや苦しみに飲まれるだけでなく、少しでも自分の人生を穏やかに生きていきたいと望むのであれば、悲しみや寂しさと共に生きながら、人生の穏やかな側面にも目を向ける。
そういう生き方は決して不可能ではないと思いますし、そういう生き方から得られることも、きっとあるはずなのです。
そしてその悲しみや寂しさと共に生きていくからこそ、人の悲しみ、寂しさや、人生の機微にも心が開かれていく。
それもまた「豊かな人生」だといえるのではないかと思います。
カウンセリングに来られる方は、こうした悲しみや寂しさを抱き、懸命に自分の生き方を模索していかれます。
その姿にふれるたびに、私は人の生き方にはその人なりの幅と奥行きが創造できるのだと感じるのです。
私はそれをクライエントの皆さんから教わりました。
人生の豊かさというのは、お金や地位、名誉、人からの評価ということではなく、むしろ様々な感情にふれ、共に生きる「心の豊かさ」なのですね。
ネガティブな思考の原因と克服の仕方
ネガティブな思考は、それを生む捉え方を無意識に持っている場合がほとんどです。
失敗や挫折は自分の人生であったら許されないこと。
例えばそういう捉え方をもっていれば、失敗が怖くなります。
そのために、仕事でもなんでも取り組む際には、失敗する前提で先のことをあれこれ考え始めます。
これがネガティブな思考のスイッチオンの瞬間です。
ネガティブなことを考え始めれば、そこからネガティブな感情が起きます。
先のことに対して不安や焦りという感情が出てきます。
焦っている時というのは、大抵、感情的になっている時です。
そんな時ほど、理性的になることが必要なんです。
何か大きな結果を残さなければならない。
新しいことを始めなければならない。
毎日、同じことの繰り返しでいいのか?
はっきりと、具体的な事があるわけではなく、漠然と焦るのだとしたら、先ずは落ち着きましょう。
大きな結果を出さなくても、幸せになれます。
毎日同じことの繰り返しといっても、人生のほとんどはそうした日々の積みかさねです。
私は以前、仏教の「禅」に興味をもっていろいろ書を読んだことがありました。
その教えの中で、こんな話がありました。
毎日同じことの繰り返しをつまらないと思うのは、自分の中に、つまらないと思う「こころ」があるからだ。
これを読んだときは「なるほど」と思いました。
同じことの繰り返しがつまらないのではなく、自分が「つまらない」という捉え方をしているだけ。
目から鱗が落ちる思いでした。
考えてみれば、同じことの繰り返し、地味な作業や行いの積み重ねが人生のほとんどを支えていますよね。
私たちはどうしても、目立ったことや目新しいものに目を奪われがちです。
でも、実は日常のルーティンというか、地味で同じことの繰り返しによって、毎日の生活はほとんど成り立っています。
仕事もそうで、地味な作業の繰り返しというかその積み重ねがあっての「成果」です。
同じことでも、その一つ一つを心をこめて行う。
そこに丁寧さという「念」を込める。
そうすると、同じことの繰り返しに対して「つまらない」とか「焦りの気持ち」は出てこない。
世間では、目立つこと、目新しいことがどうしても脚光を浴びます。
でも、そこに「下地(したぢ)」がないと、いくら目立っても、目新しくても、長続きしません。
同じことを淡々と丁寧にこなしていく。
そういう時間の使い方の方が、漠然とした不安や焦りも起きないと思います。
焦っている時ほど「焦りは禁物」と捉えれ、いつもやっていることを、より丁寧にやってみるといいですよ。
ネガティブな感情を受け容れる
私たちは、いつも調子が良いとは限りません。
時には、やることなすこと、上手くいかなかったり、いくつものトラブルが同時に起きたり・・・・
あなたにもそうした経験が、今までにありませんでしたか?
スポーツ選手でいえば、スランプがそうですね。
何をやっても、思うように結果が出ない。
それどころか、今まで当たり前にやれていたことすら、全く上手くできなくなってしまう。
そのうち、ケガなどの故障が発生したり、登録抹消などの問題にも直面したり・・・・
私たちの例でいえば、仕事や人間関係でやはり同じような事態にぶつかることがあります。
仕事も人間関係も、いつも順調にいってくれれば、こんなに楽なことはありません。
しかし、思うようにいかなくなった時こそ、私たちは真価が問われるところがあります。
先に書いた悪天候下での判断と同じです。
交通がマヒした際に、どうすればいいのか?
悪天候に際し、どんな対策や行動を取ればいいのか?
仕事や人間関係など、ものごとが思うようにいかないとき。
私たちはどうしても、イライラしたり、落ち込みます。
つまり、感情的になって、冷静な判断ができなくなります。
感情的になると、視野が狭くなりがちです。
だから、自分の身に起きている事を正確に見据えることが、どうしても出来なくなります。
カウンセリングでも、多くの人たちが狭い視野の中で苦しんでいるケースが目立ちます。
だから、カウンセリングで感情が落ち着いてくると、自然に視野が広がる(戻る)ので、いろいろなことに気づきが生まれてきます。
こうした気づきを経験することで、更に感情が落ち着き、視野が広がります。
この好循環に入っていけば、カウンセリングに通えば通うほど、状態(や状況)が良くなっていくわけです。
逆にいえば、この段階にたどり着くまでが、一つの踏ん張りどころといえます。
以前「仕事で裏切られた」という経験によって、そのトラウマに苦しんでいる方がカウンセリングに来られました。
40代のHさん(男性)です。
心の中に「許せない相手」や、「許せない出来事」がある。
こういう時は、本当に苦しい感情に苛まれるものです。
許せないという感情は怒りの感情です。
誰かを責めずにはいられない。
これは苦しいことなのです。
そして、そういう自分をもまた、責めてしまうことが多いです。
人を許せない自分、そういう自分が嫌だなと思うんです。
つまり、自分自身をも許せていない状態。
こうした感情の状態がずっと続くわけですから、何をするにも苦しさがつきまといます。
Hさんも、こうした感情に苦しみ続けてきました。
しかし、どうにも自分の努力だけでは解決できない。
そこで専門家の力を借りたいとカウンセリングに来られたのです。
カウンセリングに通っていくうちに、Hさんは思いもよらぬことに気づきます。
それは、自分が
「許せないという感情は、人間が抱いてはいけない感情だ」
「許せないという感情は、決して抱いてはいけない感情だ」
と捉えていたことです。
そのことに気づいたと同時に、Hさんは、もう一つのことに気づきます。
「許せないと思ってもいいのではないか?」
「許せないという感情も、人間の自然な感情なんじゃないか?」
Hさんは自然と自分の許せないという感情を受け容れるようになっていきました。
許せないという気持ちがあってもしょうがない。
ならば、今はこの「許せない」という気持ちと共に生きていこう。
そうすると、Hさんの精神状態が大きく変化しました。
「許せない気持ちを抱く自分」を「許した」ことで、ものすごく気持ちが楽になったというのです。
その結果、過去に対する気持ちにも少しずつ変化が出てきました。
許せないという気持ち一色だったその相手や出来事に対し、もっと幅の広い捉え方が出てきたのだそうです。
そして、Hさんは、最後の面談でこう言ってカウンセリングを卒業されました。
「裏切られたことそのものは、今も辛く悲しいことです。
でも、あの経験やこの苦しみがあったからこそ、今の自分があると思えます。」
「この経験があって良かったとさえ、今は思える。
過去のあの出来事に、一方で感謝の気持ちすら覚えます」
自分で認めたくない感情をもう一度、丁寧に見つめ直していく。
すると、これほどの変化を経験することもあります。
思うようにいかない状況をどう捉えるのか?
交通網がマヒしたとき、過去のトラウマに向き合うとき。
何かを捉え直すことで、新しい心境や道が見つかるかもしれませんね。
ネガティブな感情や思考をポジティブにするには
やらなければと思うけど、気持ちがなかなかそうならない。
自分の考えや行動を変えなきゃと思うけど、「こころ」がどうしてもついてこない。
気持ちを切り替えようとするのだけど、どうしても切り替えることができない。
ネガティブな思考や感情をなかなか変えられない。
そういう経験ってないですか?
私もそういう経験はあります。
そんな時、自分のそういう状況を「厄介だなあ」なんて思うこともあります。
カウンセリングでも、こういうお話はすごくたくさん出てきます。
人間は考えていることと、感じていることと、こころの状態と行動とが、常に一致するとは限りません。
カウンセリングの理論では、全てが一致している状態のことを、こう呼ぶんです。
「自己一致」
聞いたこと、ありますかね?
これが理想の状態だっていうわけですから、私たちは普段、多かれ少なかれ「不一致」の状態。
そしてこの「不一致」の程度が大きいほど、悩んだり不安定だったりする・・ということなんです。
さて「こころが追いついていかない」という話に戻します。
私たちは理性で考えようとすることと、感情の状態とが、同じじゃない時があります。
怒っちゃいけないと「思っている」けれど、こころは怒っている「感情状態」である。
例えばそんな場面ですね。
前向きに気持ちを切り替えなきゃいけないと思う。
でも、なかなか気持ちは前向きになれない自分がいる。
相手を許さなきゃいけないってわかってる。
また、許してあげたいとさえ思ってる。
でも、正直、どうしても許す気になれない。
どれも苦しい、悩ましい状態であり、葛藤ですね。
ままならない自分の気持ちには、どうしても「厄介だ」「困った」となります。
では、なぜこころが追いついてこないなんてことが起こるのでしょうか?
どうすればこころが追いついていくものなのでしょうか?
カギを握るのは「感情」なんです。
そう、あなたの感情が、この問題を解くカギ。
怒りとか、不安とか、困惑といった感情がそのままだから、こころが追いついていかないんです。
つまり、その感情としっかりと向き合い、その感情を「自分のもの」として穏やかに受け容れる。
そういう作業を無理なく丁寧にやっていくことで、こころが追いついていくようになります。
今、自分にはどんな感情がどの程度あるのか?
その感情は、なぜ、今もあるのか?
その感情の裏にある気づかぬ「捉え方」は何か?
こうして自分の内面を丁寧に見ていきます。
自分の無意識の捉え方には、なかなか気づけないものです。
でも、自分がこんな捉え方をしていたんだって気づけば、どうしてそういう感情があるのかも納得できます。
その納得感こそが、自分の気持ちと折り合うカギになります。
こうした作業を粘り強く行えば行うほど、自分のこころは追いついていくこともあります。
ただ、自分の正直な感情を知った時、「こうしたい」という考えそのものを見直す。
そういう必要が出てくることもあります。
例えば、許したいのに許せない。
許さなきゃいけないと思うのに、やっぱり許せない。
この場合「許せない」「許したくない」というのは、自分の中の正直な気持ちです。
この正直な気持ちが、先ず、自分の中に存在する。
そう、「存在すること」を認識します。
そして、この「許せない」「許したくない」という正直な気持ちを肯定も否定もせず、そのまま認識する=尊重する。
「今は、許せなくてもいい」
「許せないのなら、当分許せないままでいいや」
言葉にすると、こんな感じになります。
その方が、後々、自分の気持ちに折り合いがつきます。
許せなくていいって思ったことで、逆に許せるというか・・・・・
許すか許さないかという二面的な話ではない、もっと違った、幅の広い視点や捉え方が出てきたりもします。
そういう視点や捉え方によって、自分の中の感情に変化が生じる。
その結果、許せる気持ちになることもあれば、許せないけど落ち着いて捉えられる自分になることもあります。
つまり、先ずは自分の正直な気持ちは何か?
それに気づいたら、その気持ちから改めて出発することにするんです。
正直な気持ちなのに、
「こんな気持ちではいけない」
って思うのは、自分の気持ちを否定していることになる。
つまり、自己否定ってことです。
これ、本当に辛いことなんです。
自己否定し続けると、とても辛くなっていくんです。
先ずは、自分の正直な気持ちを否定も肯定もしないところから出発です。
こういう気持ちがあるんだ。
こういう感情がこんなにある。
そういう風に、まっすぐそのまま認識する。
いいとか、悪いとか、ダメだとかではなく、「あるんだな」「そうなんだな」です。
こころが追いついていくとしたら、先ず、そのスタートラインに立てるかがカギです。
ネガティブ思考や感情へのカウンセリング
不安や焦り、怒り、悲しみ、絶望といったネガティブな感情は、 ネガティブな思考から生まれます。
つまりネガティブなことを考えたり想像するからネガティブな感情になるという話ですね。
そしてこのネガティブなことを考えたり想像するのは、はそうした捉え方があるからです。
ネガティブな捉え方がネガティブな思考を生み、ネガティブな感情を起こすというわけです。
ということはその捉え方が変わることで、そこから生まれる思考や感情も変わるはずです。
カウンセリングで取り組むのは、この捉え方の変容です。
その人の持つ捉え方が変わっていくようなカウンセリングをするわけです。
そのためにカウンセリングのアプローチは今説明した事の逆の順序のアプローチとなります。
どういうことかというと、 カウンセリングは感情を入り口にアプローチを始めます。
カウンセリングの面接で、相談者は自分の悩んでいることや苦しみを話します。
その話の中に、 あるいはその話を通してカウンセラーは相談者の感情に気づきます。
辛い、苦しい、怖い、寂しい、やりきれない、許せないといった感情です。
カウンセリングは対話の流れを通してその感情を思考に話が及びます。
そしてネガティブな思考がなぜ生まれたのかという話にまで及び、 そこに相談者独自の捉え方があることが見えてきます。
そしてその捉え方がなぜ相談者の中に定着するようになったのかが見えてきます。
それは過去の挫折体験であったり、強烈な自己否定を受けたい、長い年月かけて自信が持てない養育環境にあったりと、原因は様々です。
このような相談者の歴史を理解し、 対話を通じて相談者と一緒にその捉え方が変わるようなコミュニケーションをとり続けていくわけです。
カギとなるのは、 こうした流れをカウンセラーが無理に、操作的、作為的に作るのではなく、自然な会話の流れの中で生まれるようになることです。
相談者がその時々で話したいことを自由に話す。
そういう対話の流れだからこそ、その人の捉え方が自然と浮き彫りになるわけです。
こうした取り組みは相談者が主体的に、自分の意思で取り組む形になるので、根本的にネガティブな感情や思考を手放し、バランスの良い思考や感情を主に生きていくすべを獲得できるのです。
【動画】前向きになるのは技術だから上達させるのがコツ
最後にネガティブな思考・感情をポジティブに変える方法について、短い動画で解説しました。
後ろ向きな自分を前向きに変えるのに必要なのは性能でも性格改善でもなく「技術(スキル)としての習得」の努力だというお話です。
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