ポジティブな言葉を使うか、ネガティブな言葉を使うかで脳の状態が変わります。
なぜなら私たちは言葉でものを考える。
思考は言葉によって行われ、その思考が感情を生み、行動につながる。
だから弱気になったり落ち込んだ時の気持ちの切り替えは、言葉がカギになります。
【筆者プロフィール】
心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。コーチとしても様々な目標達成に携わる。
著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」は台湾でも出版された。
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見聞きしたものが脳と人格を決める?
心の状態は、脳の状態とイコールです。
脳の反応や機能が心に大きな影響を与えていると言えます。
それこそ脳は様々な機能を司っていますが、心ということで言えば「思考」と「感情」でしょう。
そしてその思考と感情は、脳の反応や働きでもあります。
脳は様々な刺激によって反応や働きを見せるのです。
そのさまざまな刺激は、一言で言うと五感からのものです。
五感とは視・聴・嗅(きゅう)・味・触の五つの感覚であり、その総称でもあります。
見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触るの5つ。
今回はその中でも視覚と聴覚、つまり「見る」「聞く」がテーマです。
私たちの脳は自分で見たものや聞いたものに、様々な反応を起こします。
何を見て何を聞いたかによって、それが刺激となってその刺激に対して脳が様々な反応を起こすと言えます。
ということは、何を見て、何を聞くのかということが私たちの脳の反応や状態にとって非常に重要になってくるわけです。
私たちの脳はネガティブな情報(言葉)に晒されやすい
腹が立つということは、腹が立つようなものを見たり腹が立つようなことを聞いたりしている場合があります。
悲しくなるのも、悲しくなるようなことを見たり聞いたりしているからです。
辛くなったり落ち込んだりするのも、一つには、そういう反応を起こすようなものを見聞きしていると言えます。
今に始まったことではないですが、マスメディアやネットからの情報。
これにはかなり気をつけた方が良いでしょう。
一言で言うと、心の穏やかさを奪う情報に溢れているからです。
テレビでも新聞でもネットのニュースでも、提供者にとって一番大切なのは 視聴者の気持ちではありません。
提供者にとって一番大切なのは「数字」です。
それは視聴率であり、アクセス数であり、いいねやフォロワーの数でもあります。
そして、こうした数字が一番手っ取り早く取れる「ネタ」 は何でしょう?
ゴシップネタ、 不祥事、 人の不幸や失敗。
あるいは、恐怖や不安を煽る情報などです。
こうした報道や記事は、確実に視聴率やアクセス数が取れます。
テレビの報道やヤフーのトップアクセス記事などを見れば分かるでしょう。
ゴシップや不祥事、不安を煽ると言った内容の記事が並んでいますよね。
マスメディアの情報は私たちの脳をネガティブにする
私たちは気をつけないと、何の気なしにこうした情報にさらされているのです。
それも、日常生活の中でかなりの頻度で晒されています。
こうした内容の情報ばかりインプットしていれば、あなたの脳の状態はどうなっていくと思いますか?
私はこうした否定的な情報によって「脳が汚れていく」「脳が汚されていく」という言い方をします。
心が荒んでいくという言い方もします。
願わくば私たちの心が明るくなったり穏やかになったり、賢くなったり、優しくなったりする。
そういう情報を意識してインプットしていくことで、脳のコンディションを良好な状態に整えやすくできるのです。
これは私自身もこの20年ほど意識し、心がけてきた習慣でもあります。
ゴシップ、人の失敗や不祥事、不安を煽る内容。
こうしたものからは極力距離を置き、触れないようにしています。
このような否定的な情報を意識してインプットしないようにすることで、脳のコンディションを保つようにこころがけています。
あまり否定的な情報ばかりをインプットしていると、それによって起こる脳の否定的な反応が常態化してしまいます。
結果として、ものの見方や考え方、捉え方等が影響を受け否定的な傾向を強くしていくことになります。
それがさらに固まっていくと、人格、人間性までが否定的な傾向を強めていってしまうのです。
ですから、見るもの、読むもの、聞くものについては極力注意が必要です。
できればより穏やかに、より楽しく、より感動でき、より賢くなり、より優しくなり、より思慮深くなり、人としてより成熟する。
そういう刺激のインプットに努めることをお勧めします。
この積み重ねの効果は非常に大きく、まったく逆の刺激をインプットし続けて五年や十年が経ったとすると、両者のその差は計り知れないほどでしょう。
普段から自分が何を見て、何を読んで、何を聞いているのか。
無意識に自分がどのようなものに興味・関心を持っているのか。
よくよく気をつけて自覚していく方が良いでしょう。
結果として穏やかで楽しいといえる日々、そして人間関係、人生を過ごすことができます。
幸せな人生というのは、そこまで何をどう積み重ねてきたかで決まります。
情報のインプット一つとっても、重要なんですね。
使う言葉がその人の人間性を表わしている
私たちはものを考える時、そして思考を整理する時、頭の中で言葉を用いて行います。
また、自分の伝えたいことを伝えるために言葉を選んで伝えようとします。
仕事、人間関係、日々の営みを言葉によって成り立たせていますよね。
逆に、その人の使う言葉はその人のいろいろな側面を表わしています。
感情的な言葉が多い人は感情的になりやすい。
理性的、論理的な言葉が多い人は、そのようになりやすい。
愛情深い言葉を使う人はそのような人で、攻撃的な言葉を使う人もそのような人といえる。
愛情深い人は攻撃的な言葉はあまり使わないし、攻撃的な人は愛情深い言葉を思いつかない。
その人の使う言葉はその人の人間性を表わしています。
使い言葉が変わると人間性(人格)も変わっていく
また、カウンセリングをしていると次のようなこともわかりました。
カウンセリングが進んでクライエントの心理状態が良くなっていくとその言葉の使い方も変わってくるのです。
カウンセリングを受ける前と選ぶ言葉、話し方、話す内容が変わっていきます。
全体的な傾向として、より理性的に、より寛容に、より現実的になります。
気負いや焦りが取れたり、不安が和らぎ落ち着いてきたりすると、言葉の使い方も変わってくるんですね。
また、否定的な言葉や表現が多い場合でも、少しずつそれらが肯定的に、前向きなものに変化します。
ここからいえることは、その人が使う言葉はその人の心理状態をも表わしているということです。
その時々の気分や心理状態がそのまま言葉になりやすい。
捉え方の変化が思考の変化を呼び、思考の変化が感情の変化を呼ぶ。
それらの変化が言葉にも反映してくるのです。
人間の使う言語は、その人間の内面を表わしているともいえます。
そしてこの事から、こんな風にも言える。
使う言葉を変えることで、それらが変化していく。
つまり、使う言葉を変えると、感情や思考、捉え方も変わってきます。
実はカウンセリングやコーチングで起きる心理的変化もこういうメカニズムが働いているんです。
カウンセラーやコーチとの対話を重ねることにより、クライエントの使う言葉が変わってくるんです。
それはカウンセラーやコーチが丁寧な言葉を使う場合、丁寧なコミュニケーションを取る場合です。
ということは、カウンセラーやコーチはより理性的である必要がある。
より寛容で、より思慮深く、より論理的(現実的)で、より暖かい。
そういうパーソナリティーや姿勢を持つ人間とコミュニケーションを取ることで
クライエントはそうした影響を受けて言葉や心理に変化が生まれます。
耳から入る(聞く)言葉も脳(人格形成)に影響を与える
ここからさらに言えることがあります。
それは、使う言葉を変えると感情や思考、捉え方も変わっていくということ。
使う言葉によってその人の内面に変化をもたらすということです。
例えば思慮深い言葉を使い続けることによって、思慮深い視点や感覚が生まれてきます。
そしてここで大事なことは、思慮深い言葉を意図的に選ぶという行為です。
思慮深い言葉を使うには、思慮深く言葉を選ぶはずですよね。
例えば「テメー、ふざけんなよ!」「早くしろよ!このやろう」と我が子に怒鳴る親がいます。
街中でも結構な割合で耳にします。
これを使い続ける親、聞き続ける子ども、それぞれに脳はどう変化していくでしょうか。
そこで冒頭の言葉です。
「言葉の使い方が脳を(人生を)成熟させる」
理性的な人、愛情深い人、思慮深い人は一言一言を慎重に選んでいます。
コミュニケーションが上手な人は、言葉選びも上手です。
相手のパーソナリティー、相手との関係性、その場の状況に合わせ適切な言葉は何かを瞬時に判断します。
これは普段からそういう言葉で思考していないと出来ないことです。
幸せな人生にしたいと思うなら、そういう言葉を選ぶことです。
自分が幸せになる言葉は、それを聞いた周りの人も幸せになります。
間違っても人が不快になる言葉、傷つく言葉、侮辱する言葉などは使わないことをお勧めします。
優しい人間になりたいなら、人には優しい言葉を使う。
感謝できる人間になりたいならそのように、たくましい人間になりたい場合もそのような言葉を使う。
すると、段々と物事に対して優しい捉え方、優しい視点が持てるようになる。
ちょっとしたこと、当たり前のことにも感謝の念が湧く。
たくましい発想、思慮深い思考、理性的な態度や判断など、そうなりたいと思う人間に自分が変化していくんです。
だから、自分が使う言葉は、その一つ一つが自分や他者の脳に大きな影響を及ぼすといえます。
弱気になる時は、弱気になることを考え続けている
私たちは時々、弱気になることがあります。
そういう時は、大抵なにかそうなるきっかけがあることが多いものです。
物事が上手くいかなくなったり、何かアクシデントが起きたり・・・・
そうしたきっかけによって急に弱気になることはないでしょうか?
私も時々、些細なきかっけで弱気になることもあります。
そんな時はできるだけ早く気持ちを切り替えたいところです。
今回はこういう時にいかに早く気持ちを切り替えるのかについて考えます。
気持ちを切り替え、強い心構えで日々を過ごす術をお伝えします。
私たちが不安になったり自信を失う時は、大抵なにかが起きた時です。
そんな時、心が動揺し、そこから否定的なことばかり考え始めているものです。
「●●になったらどうしよう」
こんな否定的な想像や想定を次から次へと巡らせてしまっているはずです。
ここで難しいのは、この否定的な考えの連鎖が無意識に行われていることです。
自分でも意識しないところで、気がつくと心配事をいろいろ考えていたり、自分や他人を責め続けていたり、不運を嘆いていたり・・・・
このような考えを瞬間的に多数巡らせてしまいます。
結果として気持ちもどんよりしてきて落ち込んでいく一方です。
弱気になる、落ち込む、そのメカニズム
ですから、気持ちの切り替えでカギを握るのは、この否定的思考の連鎖をストップさせることです。
そして、むしろ肯定的、建設的な思考の連鎖につなげていけることです。
ただ、この思考の切り替えというのは、なかなか難しいものです。
多くの場合、パッと切り替えられるわけではありません。
切り替えようとしても、すぐまた否定的な考えに戻ってしまうのです。
それだけ、否定的思考の連鎖というのは手ごわいんですね。
だから、この否定的思考の連鎖を肯定的、建設的思考の連鎖に切り替えるには、一つコツがあるということを覚えておいてください。
そのコツというのは「言葉」です。
思考や気分を切り替える「キーワード」があります。
実は、私たちはものを考える時に、これも無意識なのですが「言葉」で考えているものなんです。
「ああ、こんな失敗をしてしまった、後始末がちゃんとできるかな、しかも・・・」
「やばい、このままだと信用を失う、この間も同じことで怒られた、だから・・・」
こんな風に無意識にものすごいスピードで言葉によって思考をめぐらせています。
弱気になったら言葉が助けてくれる
ということは、言葉の内容や流れが変われば、思考の中身も変わる可能性が出てくるのです。
キーになるのは、この言葉、問いかけです。
「今からできることは何だろう」
「改善、解決、達成するためにすべきことは何だろう」
この言葉を心の中でもよいので呟きます。
この言葉を呟くと、何ができるか、何をすべきかについて意識や注意が向きます。
思考や気持ちを切り替えるには、このように切り替わるワードを何度も使用します。
あるいは「できること」を見つけるために、先ずこんな言葉も有効です。
「今、起きていることは何だろう」
「現状を正確に把握していこう」
「必要なことをしっかりと観察&分析していこう」
こうした言葉をつぶやくだけで、脳はその答えを探そうとスイッチが入るのです。
いわゆる、これが気持ちが切り替わる瞬間ですね。
気持ち(脳)を切り替える5つの手順(
問題を解決するためには、次の順番が手順になります。
1)何が起きているか(現状把握)
2)なぜこうなったか(原因分析)
3)どうすればよいか(解決手段の検討&選択)
4)(解決手段を)試してみよう
5)試した結果を把握
5)まできたら再び1)に戻り、1)~5)までを繰り返します。
この手順を踏むために、思考の中身を建設的なものにします。
この手順を踏める思考の連鎖にするために、言葉を用いて切り替えます。
もちろん、これは一つのスキルなので「習得努力」は必要です。
でもこのスキルを身につけるとかなり前向きになれます。
無意識に考えていること(言葉)がカギ
こう考えると、私たちは無意識に言葉を用いて無数の思考をしています。
そのほとんどが自分でも気づかない無自覚な思考群です。
その思考群の中身が否定的であれば、感情も否定的な感情になり、落ち込んだり不安になったり焦ったり怒ったりしやすくなります。
一方、思考群の中身が肯定的、建設的なものであれば、当然感情も肯定的になるので、前向きな気持ちでいられる時間が増えます。
そしてその思考群を司るものの主要な要素の一つが「言葉」です。
自分が無意識に脳内で巡らせている言葉なのです。
脳内で無意識に使用している言葉というのは、本来自分の持っている価値観や、物事の捉え方などに左右されます。
捉え方に建設的なクセをもっていれば、巡らす言葉も建設的なものが増えます。
普段から自分の言動、思考、捉え方がどちらの傾向があるか。
これをしっかりと正確に把握しておくと、気持ちの切り替えが早くなります。
そういう意味で「言葉が人格を創る」というのは、本当だと思います。
自分が脳内で使う言葉、実際に口にする言葉に対して、これまで以上に意識を向けてみてください。
思わぬ発見がいろいろできると思います。
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