社会不安障害(SAD)の治療とカウンセリング
社会不安障害という病名をご存知でしょうか?
社会不安障害というのは、一言でいえば、人前で極度の緊張や不安を覚え、様々な症状に悩む状態のことです。
会社の会議やスピーチ、学校のPTAという場などで話をするのが苦手で、言葉に詰まったり声や身体が震えてしまったり、電話に出るのが怖い、誰かと会食をするのが苦手、人前で字を書こうとすると手が震えるという場合です。
あるいは初対面の相手にガチガチになったり、ちょっと顔見知りの人との集まりがものすごく苦手であるために、段々と人前に出ることを避けるようになるという場合です。
人の視線や自分の視線が気になるという人もいて、その程度が強くなると対人恐怖や強迫性障害(強迫神経症)と診断される場合もあります。
なぜそのような状態になってしまうのか。はっきりとその原因やメカニズムはわかっているとはいえませんので、専門家の間でも議論の余地の残るところです。
現在、社会不安障害の治療法としては、薬物療法(抗不安剤・抗うつ剤などの服用)や、認知行動療法、カウンセリングなどの心理療法をあげることができます。
認知行動療法は、その人の物事の受け取り方の傾向を掴み、その受け取り方(認知)が症状を生む原因だと考えられれば、それを行動面を主体に修正していくという治療法です。
カウンセリングは、じっくりと落着いた雰囲気の中で対話を続けていきながら、その人の物事の受け取り方や概念の偏りに本人自らが気づきを得て、自らが変容に努められるよう支えていったり、症状と戦わずに上手に付き合う方法を模索していったりします。
場合によっては薬物療法とカウンセリング、薬物療法と認知行動療法といった具合に併用して治療を行う場合も少なくありません。
ただこの場合、自分の苦手だったり不安を覚えること、極度に緊張したり思うように行かずに悩んでいることを、安易に「自分は社会不安障害(SAD)だ」とか「強迫神経症だ」「対人恐怖症だ」などと自分で勝手に結びつけてしまうのは禁物で、専門家の診断を仰ぐことをお勧めします。
またそうやって結びつけてしまうことが、かえって自分の心の中を正確に見えなくしてしまったり、自己洞察を妨げてしまう要因にもなりかねませんから、注意していきたいところです。
認知行動療法では、セラピストが比較的積極的に働きかけ、クライエントの思考や概念の変容に取り組みます。一日の生活の中で自分の思考や身近に起きた出来事に対する受け取り方の記録を取ってみたり、その記録を元に行動面の変容からアプローチします。
一方、カウンセリングでは、カウンセラーは基本的には傾聴と共感的理解に専念し、膝を突き合わせて対話を進めていく中で自然に浮かび上がってきたこと、クライエント自身が気づいたことについて話を深めていきます。
カウンセリングではカウンセラーが「それはスピーチ恐怖ですね」というような話をするのではなく、「人前で話そうとすると、自分の失敗を皆で笑ったり軽蔑したりするのではないかと思ってしまい、それで余計に話せなくなってしまうんです」というクライエントの言葉を大事にしながら、そう打ち明けてくれた経験そのものについて一緒に考えたり、さらにクライエント自身がその事について話を深めたいと思えば、深まるように手伝って(聞いて)いきます。
いずれにしても、素人である人間が自分でネットで調べた情報を鵜呑みにしたり、勝手な解釈や判断をするのではなく、出来るだけ早めに専門家の門を叩くことでいろいろな道が開けてくるわけですから、自分1人で何とかしようとして、袋小路にはまることのないようにして頂きたいと思います。
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