教師の指導が裏目に出るとき
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カウンセラーとして人間関係を考えるとき、私はいつも思うことが一つあります。
 
それは、伝えようとすることと伝わってしまうことのギャップです。

どういうことか?

例えば教育現場で問題児扱いされている子がいたとします。(その子が本当に問題児かどうかは別です。また問題児扱いすることの是非もおいておきます。)

その子に対して教師がもし「この子、本当に頭にくる」という思いを腹の中にしまいこんで、表の対応としては「先生はあなたのためを思って注意してるんだよ」と言ったとします。
 
さて、子どもにはその教師の言葉と心の中(腹の中)で思っていることと、いったいどちらが強く伝わるでしょうか?

こうやって例えをあげると、ほとんどの人たちが「心の中で思っていることは伝わってしまう」と答えます。

ところが、実際にそんな子供を前にしている時、教師の動き方としては言葉で何もかも伝えよう、わからせようとなってしまうのは、いったいどういうことなのでしょうか?

そしてこれは何も教師と子どもという関係だけに起きる特異なケースではありません。
 
日常の人間関係の至るところで起きている現象だと言いきってもいいと思います。

自分は腹が立つけどとにかく我慢してあの子に接しているのに、事態は悪化するばかりだと訴える先生は少なくありません。

そしてその時には「とにかく苛立ちや腹の立つ思いはわからないようにしている」と言うのです。
 
しかし実際にその様子を観察するならば、生徒には明らかに先生の腹の中にあるイライラや戸惑いといった感情の方が強く伝わり、その結果、余計にその子を落ち着かなくさせているのがわかります。

傍で見ていて、私ですらその先生の苛立ちがはっきりと見て取れるのですから、目の前で指導という名のもとに怒られている子どもに、その苛立ちが伝わらないはずがありません。
 
しかし当の先生にはそういうことが伝わって事態が悪化しているという自覚はほとんどありません。

これでは先生は良かれと思って一生懸命働きかけているのに、接すれば接するほど事態が悪くなるということが起きても不思議ではないといえます。
 
このような小さな悲劇が積み重なって、やがては更なる大きな問題へと発展している場合も出てくるわけです。 そして日常の人間関係においても、この伝えようとする内容と実際に伝わっている内容とのギャップをしっかりと検討していくならば、きっと人間関係のトラブルやギクシャクした状態を未然に防ぐという取り組みにつながると私には思えるのです。
 
教師と生徒、親と子供、夫と妻、上司と部下、友人・知人や恋人同士。

いずれの関係においても、この伝えようとしている内容と実際に伝わってしまうものとのギャップを自覚すること。

別な言い方をすれば、自己の腹の中で動いている感情や心理をしっかりと検討することが、良好な人間関係を築くための一里塚になるといえるわけです。




2009年5月17日


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